八分着色イチゴ果実のMA包装と低温貯蔵を組み合わせた鮮度保持技術
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要約
八分着色したイチゴ果実をMA包装し、0~5℃で低温貯蔵することにより、3週間程度の鮮度保持ができる。酸素濃度が10~13%、二酸化炭素濃度10%の条件で果実外観の保持効果が高く、特に0℃・酸素濃度13%の条件が最適である。
- キーワード:イチゴ、MA包装、冷蔵、八分着色、鮮度保持
- 担当:九州沖縄農研・イチゴ周年生産研究チーム
- 連絡先:電話0942-43-8362
- 区分:九州沖縄農業・野菜花き、野菜茶業・野菜品質・機能性
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
企業的経営を導入した収益性の高いイチゴ栽培では、作期拡大と収穫の平準化による収益性の拡大が必要であり、増収、安定生産技術の更なる開発とともに、栽培期間を通じて安定出荷を行うための鮮度保持技術の確立が必要である。
そこで、これまで長期貯蔵が難しかった八分着色果実を対象に、MA包装と低温貯蔵を用いた鮮度保持技術を開発する。
成果の内容・特徴
- MA包装と0~5℃の低温貯蔵により、完熟に近い八分着色果実において3週間程度の鮮度保持が可能である。さらに、黒ずみ果の発生を大幅に遅らせる効果が認められる(図1および図2)。
- 5℃および0℃のいずれの貯蔵温度でも、酸素濃度が10~13%、二酸化炭素濃度約10%の条件で果実外観の保持効果が高く、特に0℃貯蔵、酸素濃度13%で品質保持効果が高い(表1)。
- MA包装した八分着色果実を3週間低温貯蔵した場合、貯蔵温度は5℃よりも0℃の方が果実の外観品質、内部品質の保持効果が高い(表2)。
成果の活用面・留意点
- 本データは、「福岡S6号」(商標名:「あまおう」)を用いた試験結果である。他品種への適用にあたっては、熟度、貯蔵温度毎の呼吸量を測定し、最適なガス透過量を持つフィルムを選定した上で使用する。
- 貯蔵にあたっては、所定の熟度を守り、傷みのない果実を使用する。また、貯蔵温度が高くなった場合、呼吸量が増加し、品質劣
化を起こす場合があるため、貯蔵温度、包装内容量を厳守し、貯蔵終了時に果実の傷みの状況を検品した上で、出荷する。なお、開封後5℃の条件で、さらに4
日程度の品質保持が可能である。
- 処理に用いたMA包装資材は住友ベークライト(株)より、販売予定である。
具体的データ
その他
- 研究課題名:イチゴの機能性及び食味関連要素の評価方法の開発と高品質品種・系統の育成
- 課題ID:213-b.2
- 予算区分:交付金プロ(果実等輸出)
- 研究期間:2005~2007年度
- 研究担当者:曽根一純、沖村誠、溝添孝陽(住友ベークライト(株))