血漿中ビタミンC濃度と高温下の泌乳成績は正の相関がある
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要約
初産牛において体温が上昇し、血漿中の還元因子であるビタミンC濃度が低下する夏季高温環境下では、泌乳量と乳タンパク質、乳糖、無脂固形分分泌量は血漿中ビタミンC濃度と正の相関関係がある。
- キーワード:泌乳牛、直腸温度、ビタミンC、乳量、乳質
- 担当:九州沖縄農研・暖地温暖化研究チーム
- 連絡先:電話096-242-7748
- 区分:九州沖縄農業・畜産草地、畜産草地
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
高温環境下の家畜についてはその生産性が低下する要因の中に体内の酸化ストレス状態の変動が関与すると考えられているが詳細は不
明である。とくに、血漿中の還元性因子と泌乳生産性の関係については情報が不足している。そこで、夏季高温環境下における血漿中ビタミンC濃度と泌乳成績
の関係について調べる。
成果の内容・特徴
- 泌乳牛において夏季高温期に上昇する直腸温度は血漿中のビタミンC濃度と負の相関関係がある(P<0.05、図1)。
- 直腸温度が上昇する夏季高温期間には、血漿中ビタミンC濃度が高い群の泌乳量は、ビタミンCの低い群より多く(P<0.05)、各乳成分、特に乳糖(P<0.01)、無脂固形分生産量(P<0.05)は高ビタミンC群がに多い(表1)。
- 高温期の乳蛋白質、乳糖、無脂固形分の日分泌量および日乳量と血漿中ビタミンC濃度には正の相関関係がある(P<0.05、表2)。
成果の活用面・留意点
- 夏季高温期の泌乳牛における泌乳成績改善に関する基礎データとなる。
- 血漿中ビタミンC濃度は新鮮血漿を用いて、2,4-ジニトロフェニルヒドラジン法により、総アスコルビン酸濃度として分光光度計で測定した。
- 供試牛は、コーンサイレージ、イタリアンサイレージ、圧片トウモロコシ等を主体としたTDN70-73%、CP13.5-14.6%、のTMRを通年飽食給与され、群管理されている。
具体的データ



その他
- 研究課題名:暖地・温暖地における気候温暖化等環境変動に対応した農業生産管理技術の開発
- 課題ID:215-a
- 予算区分:基盤・「気候温暖化」
- 研究期間:2003~2007年度
- 研究担当者:田中正仁、神谷裕子、神谷充、鈴木知之