主要飼料イネ品種における移動性害虫の発育・増殖特性および被害程度
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要約
飼料イネ品種「スプライス」は、「ヒノヒカリ」に比べてセジロウンカの産卵数が多く、卵期生存率が高い。「クサホナミ」は「ヒノヒカリ」に比べてコブノメイガの被害葉数が多い。
- キーワード:トビイロウンカ、セジロウンカ、コブノメイガ、品種抵抗性
- 担当:九州沖縄農研・難防除害虫研究チーム
- 連絡先:電話096-242-7731
- 区分:九州沖縄農業・病害虫
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
飼料イネ品種には、食用イネ品種に比べて草丈が高く茎葉が繁茂しやすく、耐倒伏性の高い長稈・太稈のものが多い。このため、食用
イネ品種に比べて一般に害虫の加害を受けやすい。飼料イネ品種育成の際には、病害抵抗性は考慮されるものの害虫に対する抵抗性については十分検討されてい
ない。飼料イネ栽培では、多肥栽培傾向でかつ殺虫剤の使用は最小限とする必要があるため、害虫が増殖しやすい品種を栽培した場合、大きな被害が発生する可
能性がある。そこで、主要飼料イネ品種について、移動性害虫の発育・増殖特性および被害程度を明らかする。
成果の内容・特徴
- セジロウンカの幼虫期生存率は、いずれの飼料イネ品種においても80~93%と高く、「ヒノヒカリ」との間に有意差はない(
- セジロウンカの短翅雌率は、「モーれつ」と「クサユタカ」では「ヒノヒカリ」に比べて有意に低い(
- セジロウンカの産卵数は、「スプライス」では「ヒノヒカリ」に比べて有意に多い(
- セジロウンカの卵期生存率は、「モーれつ」、「クサホナミ」、および「スプライス」では「ヒノヒカリ」に比べて有意に高い(
- トビイロウンカの幼虫期生存率、短翅型率、産卵数には、すべての供試飼料イネ品種で「ヒノヒカリ」との間に有意差はない(
- コブノメイガの被害葉数は「クサホナミ」で最大であり、第1世代については「ヒノヒカリ」と比べて有意に多い(
成果の活用面・留意点
- 供試した主要飼料イネ品種には、ウンカ類、コブノメイガに対して明確に抵抗性を示す品種は見られないため、飼料イネ栽培時には「ヒノヒカリ」と同等の害虫防除対策が必要である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:暖地における長距離移動性、新規発生等難防除害虫の発生メカニズムの解明
- 課題ID:214-h
- 予算区分:ブランドニッポン、えさプロ
- 研究期間:2004~2007年度
- 研究担当者:竹内博昭、松村正哉
- 発表論文等:松村正哉(2006)九州病害虫研究会報、52: 38-40.