沖縄県のネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウの優占種および初検出種
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要約
沖縄県の亜熱帯作物圃場等で検出される農業上重要な植物寄生性線虫は、アレナリアネコブセンチュウ沖縄型(以降センチュウを略)、サツマイモネコブ、モロコシネグサレ、ミナミネグサレA型が優占種で、キタネコブ、クマモトネグサレは初検出である。
- キーワード:沖縄県、植物寄生性線虫、分布、ネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ
- 担当:九州沖縄農研・難防除害虫研究チーム
- 連絡先:電話096-242-7734
- 区分:九州沖縄農業・病害虫
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
沖縄県における植物寄生性線虫相について、古くから栽培されているサトウキビやパイナップル、ニガウリ、タバコ、サツマイモ等圃
場での分布調査は報告されているが、近年栽培が盛んとなっているマンゴー、ドラゴンフルーツ、ウコン、ヤエヤマアオキ等の圃場での調査はほとんど行われて
いない。また、主要線虫種の識別法としてDNA解析が主流になって以来、県下全域にわたる調査はなされていない。そこで、沖縄県における亜熱帯作物30種
および圃場周辺雑草等14種が生育する、計95圃場の植物寄生性線虫相を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 検出された植物寄生性線虫は、ネコブセンチュウ(以降センチュウを略)、ネグサレ、ニセフクロ、イシュク、ラセンが主であり、これらの検出率は沖縄本島および周辺島嶼と八重山諸島との間に大きな違いは見られない(表1)。
- 検出されたネコブのうち、アレナリアネコブ沖縄型は平均42.3%を占める。次いでサツマイモネコブが30.8%である。ナンヨウネコブ、ジャワネコブ、キタネコブはそれぞれ2ヶ所ずつで検出され、キタネコブ(今帰仁村古宇利島)は県下における初検出である(表2)。
- 検出されたネグサレのうち、モロコシネグサレが平均33.3%を占める。次いでミナミネグサレA型が25.0%である。その他、クマモトネグサレが1ヶ所(うるま市具志川)で検出され、県下における初検出である(表3)。
- 寄主別にみた場合、サツマイモではネコブおよびネグサレ、カボチャ、ウコン、アロエ、ドラゴンフルーツではネコブの密度が生土20gあたり10頭以上検出される圃場があり、これら線虫の寄主として好適である(表4)。
成果の活用面・留意点
- 輪作作物の選択や対抗植物の利用など、耕種的防除法選択のための資料となる。
- 明らかになった線虫種の亜熱帯作物への被害については今後調査が必要である。
- 土壌中から検出された線虫を対象に調査を行ったため、一部については圃場雑草が寄主の可能性もある。
具体的データ




その他
- 研究課題名:暖地における長距離移動性、新規発生等難防除害虫の発生メカニズムの解明と総合防除技術の開発
- 課題ID:214-h
- 予算区分:基盤
- 研究期間:2006~2007年度
- 研究担当者:岩堀英晶、上杉謙太、立石 靖