色調が明るく、嗜好性に優れた黒糖の製造法

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

ステンレス製ローラーでサトウキビを搾汁し、かつ、ライミング処理を行わない製造工程とすることにより、白色度が増し、料理への嗜好性も優れる黒糖を作ることができる。

  • キーワード:黒糖、サトウキビ、嗜好性、製造法、白色度
  • 担当:九州沖縄農研・機能性利用研究チーム
  • 代表連絡先:電話096-242-7873
  • 区分:九州沖縄農業・フードシステム
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

黒糖は多くの栄養成分や機能性成分を含む食品であるが、現在製造されている黒糖は独特の風味が強いため、その用途は限定されている。従来、黒糖は、サトウキビを鉄製ローラーの搾汁機で搾汁し、石灰を混和するライミング処理を経て製造されているが、この工程ではアミノカルボニル反応が促進、暗い色調の黒糖となっている。そこで、製造工程を見直し、明るい色調を有し、コーヒーや紅茶、また料理等の調味料等として使えるような黒糖の製造法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 黒糖製造工程において、搾汁機のローラーを鉄製からステンレス製へ変更するか、あるいは、ライミング処理を行わないことにより、黒糖の白色度が増す。また、ステンレス製ローラーによる搾汁後ライミング処理を行わない工程とすることにより、さらに黒糖の白色度が増す(表1図1)。
  • 一般消費者37名を対象にした嗜好性調査によれば、評価者の86%(やや良、良いの合計)がステンレス製ローラー搾汁後ライミング処理を行わない工程で作った黒糖の色調を好み、また、評価者の81%がこの工程で作った黒糖を料理に使いたいと回答した。(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 本製造法により黒糖の苦味、えぐみ等が改善されたことにより実需者に注目されている。熊本県玉名郡玉東町の業者がすでに本法を活用して黒糖を製造しており、熊本県水俣市、鹿児島県熊毛郡(種子島)等でも本法を活用の予定である。
  • 黒糖の色調は品種によって異なる。
  • 本製造法で作った黒糖は、鉄(従来法:1.77mg/100g、本製造法:検出されず)およびカルシウム(従来法:84.17mg/100g、本製造法:51.83mg/100g)が従来法で作った黒糖よりも少なくなるが、ポリフェノール等の機能性成分には差がない。

具体的データ

表1 ローラーの材質とライミング処理が黒糖の色調へ及ぼす影響

図1 ローラーの材質とライミング処理が黒糖の色調へ及ぼす影響

図2 ステンレス製ローラーによる搾汁後ライミング処理を行わない工程で作った黒糖の嗜好性調査結果

その他

  • 研究課題名:いも類・雑穀等の機能性の解明と利用技術の開発
  • 中課題整理番号:312a
  • 予算区分:基盤
  • 研究期間:2006~2009年度
  • 研究担当者:氏原邦博、吉元誠、和田浩二(琉球大学)、永井竜児(熊本大学)、広瀬直人(沖縄県農研センター)、照屋亮(沖縄県農研センター)
  • 発表論文等:氏原邦博ら (2009) 食科工誌56:343-349