飼料用サトウキビ「KRFo93-1」は密植により新植時の初期生育と収量が向上する
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要約
飼料用サトウキビ「KRFo93-1」は、製糖用の耕種基準の1.5倍から2倍で密植することにより、新植時の生育初期における茎数や仮茎長が大きくなり、生草収量および乾物収量が増加する。
- キーワード:飼料用サトウキビ、密植、新植、初期生育、収量
- 担当:九州沖縄農研・バイオマス・資源作物開発チーム
- 代表連絡先:電話0997-25-0100
- 区分:九州沖縄農業・畜産・草地、畜産草地
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
九州沖縄農業研究センターでは新規作物として、乾物収量が高く、再生草栽培を長期間にわたり継続できる日本初の飼料用サトウキビ品種「KRFo93-1」を育成した。「KRFo93-1」の新植時の収量は再生草栽培での収量と比較して低いが、これは新植時の初期生育が遅いことに起因する。また、新植時の初期生育が遅ければ土壌の被覆速度が遅くなるため、雑草との生育競合も懸念される。そこで、「KRFo93-1」を新植時に密植することで、初期生育の改善と収量の増加をはかる。
成果の内容・特徴
- 「KRFo93-1」を株間を狭めて、製糖用の耕種基準(63.6×103芽/ha、株間約14.3 cm)の1.5倍および2倍の栽植密度で栽培した場合、密植により茎数が増加するとともに、生育初期の仮茎長が大きくなる(表1、2)。
- 密植による茎数と仮茎長の増加のため、生育初期の土壌の被覆度が大きくなる(図1)。
- 密植により新植時の生草収量、乾物収量が増加する(図2)。
成果の活用面・留意点
- 雑草の多い圃場において密植が推奨される。特に雑草の多い圃場では、密植と合わせて畦間の中耕など他の雑草防除も行う必要がある。
- 「KRFo93-1」は製糖用サトウキビ品種よりも茎数が多いため、密植に必要な苗の確保は比較的容易である。
- 新植時の栽培期間が長くなると密植による増収効果は低下する。
- 密植栽培における施肥量は製糖用の耕種基準と同じである(基肥、追肥あわせてN:P2O5:K2O=162:120:150 kg/ha/作)。
具体的データ




その他
- 研究課題名:暖地・南西諸島の農業を支えるさとうきび等資源作物の低コスト安定生産技術の開発
- 中課題整理番号:211g
- 予算区分:基盤、交付金プロ(飼料用サトウキビ)
- 研究期間:2007~2009年度
- 研究担当者:境垣内岳雄、寺島義文、寺内方克、加藤直樹、松岡誠、杉本明、服部太一朗
- 発表論文等:境垣内ら(2010)日作紀79:1-9.