タッチパネル操作などでユーザに使いやすいPC版農作業日誌

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要約

ユーザにとって使いやすいタッチパネルモニタによって入力作業および情報閲覧などの操作を簡便にしたパソコン版農作業日誌。マップやアイコン、リスト表示によって操作がわかりやすく、GPSなどを用いて農作業情報の入力作業の省力化が可能である。

  • キーワード:農作業日誌、タッチパネル、GPS、マップ、GAP
  • 担当:九州沖縄農研・九州畑輪作研究チーム
  • 代表連絡先:電話0986-24-4277、電子メールomine@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・畑作、共通基盤・作業技術、共通基盤・情報研究
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

食の安心・安全を背景としたGAP(農業生産工程管理)の推進によって、実需から栽培履歴や作業履歴などの厳密な記録・管理および電子化が求められている。また、担い手育成のための技術の継承や異業種参入による作業の平準化の点からも農作業内容の詳細な記録・蓄積は重要である。しかし、既存の農作業日誌システムなどではIT機器に不慣れな生産者が容易に操作でき、低コストで導入・継続運用できるシステムは少ない。そこで、タッチパネルなどを活用してユーザビリティーを向上させたPC版の農作業日誌を開発する。

成果の内容・特徴

  • 農作業日誌DigiFarmNoteは、生産者向けの必要最小限の入力機能を備えたPC版の簡易な農作業日誌ソフトである。日誌の主な操作は、手によるタッチパネル操作で行い、ユーザにとって操作が容易でわかりやすく、低コストで導入できる(図1表1)。
  • 日誌の入力項目は、「作業日」「作業時間」「作業者」「天候」「作物」「圃場」「作業内容」「機械」「資材(散布量や希釈倍率など含む)」をはじめ、必要に応じて「メモ」「音声」「画像(ファイル、e-mail添付)」の追加入力が可能である(図2)。
  • 入力項目に対応した入力値がドロップダウンリストから選択することができ(図2)、さらに、アイコンやリスト、マップ形式で視覚的にわかりやすく表示・選択が可能で、ユーザビリティーを向上させている(図3)。
  • マップ表示は、インターネット上の無料マップサービスを利用して、全国の詳細な地図および高解像度の航空写真画像上で圃場の位置表示ができ、インターネット環境がない場合には、圃場リストにて対応している(図3)。リスト表示は、任意の項目による並び替え、データ検索や簡易印刷の機能も有している。
  • 予め既定の入力値となる圃場・作物・機械・資材に関するデータおよび優先順位の設定ファイルを作成し、入力履歴に応じて順位を更新することで入力の簡略化を図っている。必要に応じてキーボードなどを用いて新たな入力値を追加することも可能である。
  • 市販のGPSや農作業記録装置DigiFarmLoggerの取得データを連動させることで、対象圃場や作業時間のほか、作業能率や作業量などが自動算定でき、入力の大幅な省力化と詳細な作業情報の取得が可能である(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 高額な営農関連の情報システムの導入が困難な生産法人や担い手などを対象として、農作業日誌の記録促進および生産工程管理のための農作業の情報化に活用できる。
  • 本ソフトウェアは、生産現場の要望を受けて既に複数の生産法人に試験導入して継続利用されており、今後改良を加えて広域で本格的に普及させるため、http://www.digifarmer.com/にて無償で提供し、サポートする予定である。
  • 圃場座標は予めデータ設定ファイルを作成する必要があるが、今後、地図上で圃場形状(ポリゴン)を直接入力できる機能を追加する予定である。

具体的データ

図1 タッチパネルによる操作の様子

図2 作業日誌DigiFarmNoteの入力画面例

表1 作業日誌DigiFarmNoteの主な仕様

図3 操作が簡便なデータ入力・表示形式

その他

  • 研究課題名:地域条件を活かした高生産性水田・畑輪作のキーテクノロジーの開発と現地実証に基づく輪作体系の確立
  • 中課題整理番号:211k.9
  • 予算区分:基盤
  • 研究期間:2008~2009年度
  • 研究担当者:大嶺政朗、杉本光穗、安達克樹、金岡正樹