トラクタに無改造で脱着可能な農作業状態検知センサおよび小型記録装置

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

トラクタの作業位置や作業状態を検知する無改造で脱着が容易な農作業検知センサと、これらセンサの情報を有線ネットワークにて一元的に収集・統合して、USBメモリに自動記録する小型記録装置。農作業情報を1ヶ月間連続記録することが可能である。

  • キーワード:作業情報、自動記録、USBメモリ、GPS、CAN、GAP
  • 担当:九州沖縄農研・九州畑輪作研究チーム
  • 代表連絡先:電話0986-24-4277、電子メールomine@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・畑作、共通基盤・作業技術、共通基盤・情報研究
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

農作業の効率化や機械稼動状況把握には作業内容の記録が必要不可欠であり、GAP(農業生産工程管理)の導入推進によって農作業情報のさらなる厳密かつ詳細な記録が求められている。従来の人が行う作業日誌の形態では、作業と併行して実作業能率や実作業量など詳細な作業内容を確認して記録することは困難である。そこで、トラクタの作業軌跡や農作業状態を検知する脱着が容易なセンサ群とセンシングした情報を一元的に自動記録できる装置を開発する。

成果の内容・特徴

  • 農作業記録装置DigiFarmLoggerは、作業位置や作業状態を検知するGPSなどのセンサ類と小型記録装置から構成される(図1)。センサ類は無改造で脱着が容易であり、有線ネットワーク(CAN)にて接続され、すべての情報は小型記録装置に自動記録される。
  • GPSセンサにてトラクタの走行軌跡を取得し、バックランプ表面に装着した光センサにてランプ点灯のON-OFFから前後進の切り替えを検知する。また、ロアリンクに装着した傾斜計の角度から作業機の昇降を検知する(図1)。
  • GPSセンサは標準的なNMEA-0183フォーマット出力するものを使用しているが、ネットワークがCAN仕様のため、NMEA-2000をCAN出力する市販のGPSにも対応している。
  • センサ群からの情報は小型記録装置にて統合され、USBメモリに改ざんが困難なバイナリ形式のファイルとして記録される(図2左)。2GBのUSBメモリにて1ヶ月間連続記録でき、メモリ脱着以外の操作は不要である。
  • 計測の開始および終了は、エンジン始動もしくはタイマに連動しており、電源供給線を含めた一本のCANバスケーブルで繋がれるため容易に増設・脱着可能である(表1)。
  • USBメモリに記録されたファイルは秘匿性の高い一次情報となっており、PC上の専用ソフトにて二次情報としてテキスト形式に変換でき(図2右)、前後進や作業機昇降(ロータリ耕)を識別した走行軌跡(図3)や実作業時間などが把握できる。

成果の活用面・留意点

  • 得られたデータは機械使用時間把握や作業能率の評価など農作業情報モニタリングや秘匿性の高い詳細な作業履歴として農産物のトレーサビリティに活用できる。
  • 農作業記録装置DigiFarmLoggerは(有)木村応用工芸より市販化する予定である。
  • 現在、回転パルスセンサやタンク残量センサなどを開発中であり、センサネットワークに追加予定である。
  • 「PC版農作業日誌DigiFarmNote」の補助入力装置として対応している。

具体的データ

図1 構成したセンサネットワーク農作業記録装置DigiFarmLogger

 

図2 データの保存形式とテキストファイルへの変換

表1 農作業記録装置DigiFarmLoggerの仕様

図3 データから得られた作業軌跡

その他

  • 研究課題名:地域条件を活かした高生産性水田・畑輪作のキーテクノロジーの開発と現地実証に基づく輪作体系の確立
  • 中課題整理番号:211k.9
  • 予算区分:基盤
  • 研究期間:2006~2009年度
  • 研究担当者:大嶺政朗、杉浦綾、杉本光穂