自給飼料基盤の活用と購入後のサポート付加は販売TMRの評価を引き上げる

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

TMRセンターの調製・混合済TMRの販売において、既存の自給飼料基盤の活用や飼料診断、牛の健康状態のチェック等の購入後のサポート付加はユーザーのTMR評価を引き上げる。

  • キーワード:TMRセンター、運営戦略
  • 担当:九州沖縄農研・イネ発酵TMR研究チーム
  • 代表連絡先:電話096-242-1150
  • 区分:九州沖縄農業・畜産・草地、畜産草地
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

近年調製・混合済のTMRをユーザーに配送するTMRセンターが各地で展開しつつあるが、TMRセンターの販路確保、拡大や運営改善の観点から、畜産経営におけるTMRの評価向上を目指す必要性が出てきている。畜産経営においては既存自給飼料基盤の活用や購入後のサポートに対する要望がある。そこでTMRセンターの類型に購入飼料混合型と自給飼料活用型の2つの類型を設定し(表1)、それぞれについてユーザーサポート、具体的には飼料診断サービス(牛群構成・能力や目標乳量に応じたTMRとその他飼料の組合せの提示等)と牛の健康状態のチェックの導入がTMRの評価に与える影響を明らかにする。また、購入飼料混合型と自給飼料活用の相対的評価を行う。

成果の内容・特徴

  • TMRの基礎的評価部分は、購入飼料混合型では経営類型3(TMR購入経営群)が最も高く、経営類型2(ミキサー所有経営群)が最も低い(図1左)。
  • 自給飼料活用型では全ての経営類型で購入飼料混合型と比較して基礎的評価部分が増加し、経営類型2の評価向上が特に顕著である。
  • 飼料診断サービスと牛の健康状態のチェックを付加することで、購入飼料混合型のTMRはそれぞれ原物kg当たりで1.6円、0.6円評価が向上する。ユーザー評価の向上効果は飼料診断サービスで顕著である(図1左)。
  • 自給飼料活用型のTMRでは飼料診断サービスと牛の健康状態のチェックの付加により、それぞれ原物kg当たりで1.6円、0.4円評価が向上する。購入飼料混合型と同様に、ユーザー評価の向上効果は飼料診断サービスで顕著である(図1右)

成果の活用面・留意点

  • TMRセンターの運営戦略における参考情報として利用できる。
  • 対象は酪農経営である。

具体的データ

表1 想定するTMRセンターのタイプと概要

図1 ユーザーの半数が許容するTMR購入価格(左:購入飼料混合型、右:自給飼料活用型)

その他

  • 研究課題名:地域条件を活かした飼料用稲低コスト生産技術及び乳牛・肉用牛への給与技術の確立
  • 中課題整理番号:212b.5
  • 予算区分:基盤、科研費、委託プロ(えさプロ)
  • 研究期間:2007~2009年度
  • 研究担当者:西村和志
  • 発表論文等:西村(2009)2009年度農業経済学会論文集:131-138