泌乳牛用TMR素材としての麦焼酎粕濃縮液
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要約
麦焼酎粕濃縮液は、泌乳牛用混合飼料に使用しても、飼料の乾物摂取量に影響しない。また、乳牛の血液性状、泌乳量、主要乳成分に影響を与えず、濃厚飼料の節減効果が期待できる。
- キーワード:麦焼酎粕濃縮液、混合飼料、泌乳牛
- 担当:九州研・暖地温暖化研究チーム、イネ発酵TMR研究チーム
- 代表連絡先:電話096-242-7748
- 区分:九州沖縄農業・畜産・草地(家畜)、畜産草地
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
食品加工残渣の飼料としての有効利用が求められている中で、麦焼酎粕濃縮液(主原料は大麦)は家畜の飼料としての有効成分を多く含んでいるが、給与方法などが明確でなかったためこれまで飼料としての活用が進んでいなかった。そこで、泌乳牛用混合飼料として麦焼酎粕濃縮液を乾物構成で20%含むTMR(完全混合飼料)を泌乳牛に給与し、その影響を検討する。
成果の内容・特徴
- 麦焼酎粕濃縮液は、粗蛋白質含量が約40%と高く、TMRに乾物構成で20%混合した麦焼酎粕TMR区でも対照TMR区と同等の栄養価を維持でき、濃厚飼料を節減できる(表1)。
- 麦焼酎粕TMR区の乾物摂取量は21.9kg/日で、対照TMR区の22.6kg/日と差はなかった(表2)。
- 泌乳牛の各血中成分は、麦焼酎粕TMR区と対照TMR区で差異は見られない(表3)。
- 対照TMR給与区と麦焼酎粕濃縮液給与区では泌乳量および各種乳成分値に有意な差は観察されない(表4)。
成果の活用面・留意点
- 麦焼酎粕濃縮液を泌乳牛用TMRの原料として用いる場合の参考となる。
- 麦焼酎粕濃縮液はその製造工程によって水分等が異なる場合があり、水分含量の増加は変敗速度を加速するので留意する。
- 麦焼酎粕濃縮液の乾物構成20%給与時には生乳の風味が変化する場合がある。
具体的データ




その他
- 研究課題名:気候温暖化等環境変動に対応した農業生産管理技術の開発
- 中課題整理番号:215a.3
- 予算区分:基盤、委託プロ(えさ)
- 研究期間:2006~2009年度
- 研究担当者: 田中正仁、鈴木知之、神谷裕子
- 発表論文等:田中、鈴木 (2009)日草九支報38(2): 12-14.