泌乳牛用TMR素材としての米焼酎粕濃縮液

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要約

米焼酎粕濃縮液は、泌乳牛用混合飼料に使用しても、乾物摂取量に変化はなく、乳牛の血液性状、泌乳量、主要乳成分に顕著な影響を与えず、輸入濃厚飼料の節減効果が期待できる。

  • キーワード:米焼酎粕濃縮液、完全混合飼料、泌乳牛
  • 担当:九州沖縄農研・暖地温暖化研究チーム、イネ発酵TMR研究チーム
  • 代表連絡先:電話096-242-7748
  • 区分:九州沖縄農業・畜産・草地(家畜)、畜産草地
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

輸入濃厚飼料は価格変動が大きく、畜産経営の不安定化要因である。一方、食品加工残渣である米焼酎粕濃縮液は、国内で産出され、家畜の飼料としての有効成分を多く含んでいる。しかし、給与方法などが明確でなかったため、これまで飼料としての活用が進んでいなかった。そこで、米焼酎粕濃縮液の泌乳牛用飼料利用としての可能性を探るため、これを含むTMR(完全混合飼料)を泌乳牛に給与し、その影響を検討する。

成果の内容・特徴

  • 米焼酎粕濃縮液は、粗蛋白質含量が約54%で脱脂大豆粕とほぼ同程度であり、タンパク質飼料源として代替できることから、輸入濃厚飼料の節減効果が期待できる(表1)。
  • 米焼酎粕濃縮液を乾物構成で20%含むTMR(米焼酎粕区)を泌乳牛に給与した場合、単位体重(kg)あたりの乾物摂取量は32g/日以上で、脱脂大豆粕を乾物構成で20%含む対照TMR(対照区)と差はない(表2)。
  • 泌乳牛の各血中成分は、米焼酎粕区で血中尿素態窒素濃度(BUN)の低下が見られたものの正常範囲であり、その他の成分に差は見られない(表3)。
  • 泌乳量および各種乳成分値は対照区と比較して米焼酎粕区で乳中尿素態窒素濃度(MUN)の低下がみられたものの正常範囲であり、その他の成分および泌乳量に差はみられない(表4)。

成果の活用面・留意点

  • 米焼酎粕濃縮液を泌乳牛用飼料として用いる場合の飼料設計の参考として活用できる。
  • 米焼酎粕濃縮液は、同じ工場でも製品毎に製造工程が異なる場合や季節の影響により水分等の成分が変動する場合があるので留意する。
  • 米焼酎粕濃縮液の粗蛋白質消化率は、大豆粕よりもひくいことを考慮する。

具体的データ

表1 試験飼料構成例(乾物構成比率)

表2 米焼酎粕濃縮液TMRの給与時の乾物摂取量、TDNとCP摂取量

表3 米焼酎粕濃縮液TMRの給与が血中成分に及ぼす影響

表4 米焼酎粕濃縮液TMRの給与が泌乳成績に及ぼす影響

その他

  • 研究課題名:気候温暖化等環境変動に対応した農業生産管理技術の開発
  • 中課題整理番号:215a.3
  • 予算区分:基盤、委託プロ(えさ)
  • 研究期間:2006~2009年度
  • 研究担当者: 田中正仁、鈴木知之、神谷裕子
  • 発表論文等:田中、鈴木 (2009)日草九支報38(2): 12-14.