紫サツマイモのORAC値は高く、DPPHラジカル消去活性と高い正の相関を示す

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要約

紫サツマイモ「アヤムラサキ」「ムラサキマサリ」「アケムラサキ」は他の肉色(白、黄、橙)のサツマイモ品種と比較して、ORAC値が約10倍高い。紫サツマイモのORAC値はDPPHラジカル消去活性と高い正の相関を示す。

  • キーワード:紫サツマイモ、活性酸素吸収能、ORAC、DPPHラジカル消去能
  • 担当:九州沖縄農研・機能性利用研究チーム
  • 代表連絡先:電話096-242-7873
  • 区分:九州沖縄農業・フードシステム
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

日本において農作物の抗酸化活性測定に適用された報告が多いDPPH(1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl)ラジカル消去法(電子供与反応)と米国農務省により公開された農作物と加工食品の抗酸化活性データベースの作成に用いられた活性酸素吸収能(ORAC, oxygen radical absorbance capacity)法(水素原子供与反応)を測定法に選択し、その反応機構の異なる両測定法で、白、黄、橙、紫の肉色をしたサツマイモの抗酸化活性を評価する。

成果の内容・特徴

  • 紫サツマイモ「アヤムラサキ」「ムラサキマサリ」「アケムラサキ」のORAC値は、他の肉色のサツマイモ品種と比較して、約10倍高い(図1)。
  • 白、黄、橙、紫の肉色をしたサツマイモのDPPHラジカル消去活性もORAC値と同様な傾向にある(図1)。
  • 紫サツマイモ3品種のORAC値の平均値(8704μmol-Trolox相当量/100g-新鮮重)は米国農務省のデータベース(農作物に限定)において、上位10%以内に位置する。
  • 紫サツマイモのDPPHラジカル消去活性とORAC値との相関はr=0.894である(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 本成果は紫サツマイモを高機能性食品素材として取り扱う企業等での活用が期待できる。
  • ORAC値については、米国農務省のデータベースの基礎となる論文と同一手法でサツマイモ凍結乾燥品から高速溶媒抽出装置を用いて調製した抽出液を測定した値である。
  • ORAC値の高い紫サツマイモやその加工食品を指向した新品種育成や食品素材開発の場面では、DPPHラジカルを用いた評価法はORAC値を見積もるための方法として代用できる。

具体的データ

図1 肉色の異なるサツマイモのORAC値とDPPHラジカル消去活性

図2 紫サツマイモ品種・系統のDPPHラジカル消去活性とORAC値との相関

その他

  • 研究課題名:いも類・雑穀等の機能性の解明と利用技術の開発
  • 中課題整理番号:312a
  • 予算区分:実用技術
  • 研究期間:2007~2009年度
  • 研究担当者:沖智之、佐藤麻紀、吉永優、境哲文、菅原晃美、寺原典彦(南九大)、須田郁夫
  • 発表論文等:
    1)沖智之ら(2009)食科工、56(12):655-659
    2)Oki T. et al. (2010)SPORF 23:5