葉焼病・ハスモンヨトウに強い小粒だいず新品種「すずかれん」

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要約

だいず「すずかれん」は葉焼病と食葉性害虫のハスモンヨトウに抵抗性を有する。「すずおとめ」より晩生で、百粒重がやや大きい納豆向けの系統である。

  • キーワード:ダイズ、葉焼病、ハスモンヨトウ抵抗性、納豆
  • 担当:九州沖縄農研・大豆育種研究九州サブチーム
  • 代表連絡先:電話096-242-1150
  • 区分:九州沖縄農業・水田作、作物・畑作
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

九州地域に適した納豆向け小粒大豆「すずおとめ」は福岡県、熊本県で栽培され、納豆に加工後、地域の学校給食に提供されているほか、一般にも販売されるなど地域に定着している。しかしながら、「すずおとめ」は「フクユタカ」に比べ葉焼病に弱く、葉焼病による落葉等の被害のため小粒化し、収量の低下が産地で問題となっており、抜本的解決には抵抗性品種の導入が必要である。
そこで、九州地域向けに葉焼病に強く、さらにハスモンヨトウ抵抗性を付与した納豆向け小粒品種を育成する。

成果の内容・特徴

  • 「すずかれん」は1997年に九州農業試験場(現、九州沖縄農業研究センター)において、早生小粒系統の「九州129号(後の「すずおとめ」)」を母、葉焼病抵抗性で、ハスモンヨトウ抵抗性の「IAC 100」を父とした人工交配から育成された系統である。
  • 九州の標準播種期である7月上旬播きで、成熟期が「すずおとめ」より1週間ほど遅く、「フクユタカ」より1週間ほど早熟で、収量は「すずおとめ」と同程度である。(表1)。
  • 葉焼病及び食葉性害虫のハスモンヨトウに抵抗性を有する(表2)。
  • 納豆加工適性は「すずおとめ」並である(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 子実の粒色は“黄白”に分類されるが、系統の特性として、やや青みを有する。
  • ハスモンヨトウによる被害を完全に抑えるわけではないので、発生状況に応じて防除が必要である。また、ハスモンヨトウ以外の害虫に対して適切な防除が必要である。
  • 早播では多収になるが、倒伏する可能性が高くなるため留意すること。
  • 普及に向けた大規模な試作栽培、加工試験が行えるよう品種登録を出願する。

具体的データ

表1.「すずかれん」の特性一覧表

 

表2.「すずれん」と「すずおとめ」の病害虫抵抗性等の比較 

写真1 葉焼病による被害の様子

写真2.ハスモンヨトウ抵抗の違い

その他

  • 研究課題名:省力・機械化適性、加工適性、病害虫抵抗性を有する食品用大豆の育成と品質安定化技術の開発
  • 中課題整理番号:211b
  • 予算区分:基盤、委託プロ(加工プロ2系)
  • 研究期間:1997~2009年度
  • 研究担当者:高橋将一、高橋幹、大木信彦、小松邦彦、中澤芳則、松永亮一、羽鹿牧太