高消化性遺伝子bmr-18を持つソルガム一代雑種親自殖系統「JK2」

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要約

ソルガム一代雑種親自殖系統「JK2」は、スーダングラスに属し中生で高消化性遺伝子bmr-18を持ち、スーダン型ソルガム(子実型×スーダングラス)の一代雑種品種「九州交3号」の花粉親系統として利用できる。

  • キーワード:ソルガム、一代雑種、自殖系統、スーダングラス、高消化性、bmr-18
  • 担当:九州沖縄農研・バイオマス・資源作物開発チーム
  • 代表連絡先:電話096-242-7755
  • 区分:九州沖縄農業・畜産・草地(草地飼料作)、畜産草地
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

ソルガムの栽培品種は、細胞質雄性不稔系統を種子親とし、自殖系統を花粉親とする一代雑種(F1)が主流である。優良F1品種の育成には優秀な親系統の育成が不可欠である。とくにソルガムでは、高消化性遺伝子を利用することで品質(消化性・採食性)の改善が可能であり、そのために、親系統に高消化性遺伝子を導入するとともに、さらに一代雑種の収量性、耐倒伏性、耐病性などの諸特性が優れる親自殖系統の育成が必要である。そこで、雄性不稔を利用したF1品種の花粉親系統として利用できる自殖系統を育成する。

成果の内容・特徴

  • 「I.S.3337(多茎、細茎)×68-1(bmr-18)」を母材とし、耐病性および耐倒伏性等で選抜して育成した自殖系統である(写真1)。
  • 葉身の中肋色は褐色でbmr-18遺伝子を持つ(表1)。
  • 早晩性は中生に属する。稈長は約2mの中稈で、稈径は8.6mmとやや細く、茎は乾性である(表1)。
  • 隔離採種における採種量は、24.2kg/a 程度である(表1)。
  • 子実の粒色は薄茶色で、千粒重は11.6g程度である(表1)。
  • すす紋病抵抗性は「中」であり、紫斑点病は「弱」である(表2)。
  • 本系統を花粉親とする一代雑種「九州交3号」は、晩生で、乾物収量は「SSR4」比107%とやや多収である。高消化性遺伝子を持ち、bmr-6標準品種「SSR4」よりリグニン含量が低く、推定TDN含量は 「SSR4」と同程度である(表3写真1)。

成果の活用面・留意点

  • スーダン型ソルガム一代雑種「九州交3号」の花粉親として利用できる。
  • 高消化性遺伝子bmr-18を有するスーダングラスで、スーダン型ソルガムの花粉親系統として利用できる。
  • すす紋病抵抗性は「中」、紫斑点病は「弱」なので、これらの病害が多発する地帯では採種栽培を避ける。

具体的データ

表1 「 JK2 」の一般特性と採種性

表2 「 JK2 」の耐病性

表3 単交配一代雑種「九州交3号」の生育、収量、品質特性

写真1 「 JK2 」(左側、開花期)および「九州交3号」(右側、出穂始)の草姿

その他

  • 研究課題名:暖地・南西諸島の農業を支えるさとうきび等資源作物の低コスト安定生産技術の開発
  • 中課題整理番号:211g
  • 予算区分:基盤、委託プロ(エサプロ)
  • 研究期間:1999~2009年度
  • 研究担当者:高井智之、我有満、山下浩、桂真昭、松岡秀道、後藤和美、小橋健