「ミナミノカオリ」の開花期の窒素追肥量は開花期の葉身乾物重により推定できる

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要約

パン用小麦品種「ミナミノカオリ」の目標とする子実タンパク質含有率を得るための開花期の窒素追肥量は、開花期の葉身乾物重により推定できる。

  • キーワード:ミナミノカオリ、子実タンパク質含有率、開花期、窒素追肥、生育診断
  • 担当:九州沖縄農研・イネ発酵TMR研究チーム
  • 代表連絡先:電話0942-52-0670
  • 区分:九州沖縄農業・水田作
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

パン用小麦品種「ミナミノカオリ」は、通常の窒素施肥法(基肥-分げつ期追肥-茎立ち期追肥の順に、5-4-2 g N m-2)では、製パンに必要とされる子実タンパク質含有率(11.5%~14.0%)は得られないが、開花期の窒素追肥により、その子実タンパク質含有率が得られることが明らかになっている。しかし、開花期の窒素追肥の効果は開花期の生育程度により異なることが懸念されるため、開花期の生育診断により窒素追肥量を決定する方法の開発が望まれている。そこで本研究では、「ミナミノカオリ」の開花期の生育関連形質と子実タンパク質含有率との関係を明らかし、開花期の生育診断により窒素追肥量を推定する方法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 開花期の窒素追肥の効果は、開花期の生育程度により異なる(図1)。
  • 子実タンパク質含有率は、いずれの開花期の窒素追肥量においても、開花期の葉身乾物重、葉身乾物重LAI、葉身乾物重SPAD値、およびLAISPAD値と相関が高い(表1)。
  • 開花期の葉身乾物重と子実タンパク質含有率との関係は、いずれの開花期の窒素追肥量においても2次関数で良く近似できる(図2)。このため、目標とする子実タンパク質含有率を得るための開花期の窒素追肥量は、この関係により推定できる。

成果の活用面・留意点

  • 試験は、福岡県筑後市の九州沖縄農業研究センターの圃場(灰色低地土)で、2003-2004年、2004-2005年、および2008-2009年の3シーズンに行った。
  • 表1および図2の開花期の葉身乾物重は、開花期に約1.2 m2のサンプルを刈り取り、その約1/10の葉身乾物重およびその割合を求め、これに全乾物重を乗じて算出した。なお、葉身乾物重およびその割合には、枯死した葉身は含めていない。

具体的データ

図1 開花期の生育の異なるミナミノカオリにおける開花期の窒素追肥量と子実タンパク質との関係

表1 開花期の生育関連形質と子実タンパク質含有率との相関係数

 

図2.開花期の葉身乾物重と子実タンパク質含有率との関係

 

その他

  • 研究課題名:地域条件を活かした飼料用稲低コスト生産技術及び乳牛・肉用牛への給与技術の確立
  • 中課題整理番号:212b.5
  • 予算区分:基盤
  • 研究期間:2003~2008年度
  • 研究担当者:中野洋、森田敏、楠田宰、佐々木豊
  • 発表論文等:
    Nakano et al. (2008) Plant Prod. Sci. 11(1), 151-157.
    Nakano and Morita (2009) Plant Prod. Sci. 12(3), 351-358.
    Nakano et al. (2010) Plant Prod. Sci. 13(3), 297-306.