プロファイリングによる暖地・温暖地向きトウモロコシ親系統の系列分け
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要約
プロファイリングによる系列分けは暖地・温暖地向きトウモロコシ親系統にも有効で、親系統間の近縁関係を正確に把握できる。この方法で、晩播用デント種と春播き用デント種は別系列となり、両系列間の交配により多収なF1組合せが得られる。
- キーワード:トウモロコシ、プロファイリング、系列分け、自殖系統、飼料作物育種
- 担当:九州沖縄農研・周年放牧研究チーム
- 代表連絡先:電話0986-24-4275
- 区分:九州沖縄農業・畜産・草地、畜産草地
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
トウモロコシでは、遠縁な親系統間での組合せほど多収なF1が得られる可能性が高まることから、多収なF1品種を効率的に育成するためには親系統間の近縁関係をより正確に把握することが重要である。そこで、寒地向き親系統で確立したプロファイリング(60の特定SSRマーカーの多型による親系統間の近縁関係情報のデータベース)による系列(組合せ能力の特性を同じくする系統群)分けを暖地・温暖地向き親系統に適用し、由来によるデント種系列とフリント種系列を新たに系列分けする。さらに、新たな系列分けに基づく組合せ能力を検証し、暖地・温暖地向きF1品種育成の飛躍的な効率化を図る。
成果の内容・特徴
- 暖地・温暖地向き親系統間のプロファイリングの近縁度とそのF1組合せの乾物収量との間には有意な負の相関が認められ、遠縁なF1組合せが多収となる傾向がある(図1)。近縁度による収量性に関するF1組合せの選抜は、暖地・温暖地向き親系統においても有効である。
- 春播き用のデント種(MD) 系列、フリント種(MF) 系列の親系統は、異なる系列の親系統とのF1組合せで近縁度が低く遠縁で、多収となる(表1)。春播き用親系統では、由来による系列分けと近縁度による系列分けは良く一致している。
- 晩播用デント種(RD) 系列の親系統は、MF系列のみならずMD系列の親系統との組合せでも近縁度が低く遠縁で、多収となる(表1)。
- プロファイリングの主座標分析による第1-2主座標図の位置関係を近縁度に加味することにより、さらに詳細な暖地・温暖地向き親系統間の近縁関係を把握できる(図2)。
- 主座標分析による第1-2主座標図では、RD系列の親系統は同じデント種系列のMD系列の親系統と異なる領域に位置し、RD系列はMD系列と遠縁の別系列である(図2)。
成果の活用面・留意点
- 育成親系統の組合せ能力検定試験の効率化や親系統育成の母材選定に活用できる。
- 育成親系統の主要親系統との詳細な近縁関係情報を提供することにより、育成親系統の民間種苗会社での利用を促進できる。
- プロファイリングの近縁度や主座標分析による系列分けは、病害抵抗性や栄養価には適用できない。
具体的データ



その他
- 研究課題名:地域条件を活かした健全な家畜飼養のための放牧技術の開発
- 中課題整理番号:212d.4
- 予算区分:実用技術
- 研究期間:2006~2008年度
- 研究担当者:村木正則、榎宏征、才宏偉(種子協会)、湯山奈々(種子協会)、小松敏憲