サツマイモ「すいおう」葉身の調理品中にルテイン、カフェ酸誘導体は含まれる
要約
「すいおう」葉身を調理しても、ルテイン、カフェ酸誘導体は調理品中に含まれる。「蒸す」や「炒める」調理品の方が、「煮る」、「茹でる」調理品よりもこれらの含量が高い。調理品の抗酸化力は、カフェ酸誘導体総量および総ポリフェノール量と相関が高い。
- キーワード:サツマイモ葉、すいおう、ルテイン、カフェ酸誘導体、抗酸化
- 担当:九州沖縄農研・機能性利用研究チーム
- 代表連絡先:電話096-242-1150
- 区分:九州沖縄農業・フードシステム
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
葉身と葉柄を食用とするサツマイモ品種「すいおう」は、良食味で収量が高く夏場の葉野菜として利用できる。ビタミン、ミネラル、食物繊維など栄養価も高く、ルテイン、カフェ酸誘導体といった機能性成分も豊富である。しかし、調理した際の機能性成分に関する情報はない。
そこで「すいおう」葉身を加熱調理し、調理品中の機能性成分含量と抗酸化活性を調べる。
成果の内容・特徴
- 「すいおう」の葉身(図1)には葉柄に比べてルテインは約16倍、カフェ酸誘導体総量は約3.5倍多く含まれる(表1)。機能性成分の摂取源として葉身が有用である。
- 4種類の方法(「蒸す」「炒める」「煮る」「茹でる」)による葉身の調理品のルテイン含量は10.1~15.8 mg/100 gであり、調理法では、「炒める」調理品が他の調理品よりも高い(表2)。
- 葉身の調理品に含まれるカフェ酸誘導体総量は244.7~428 .2 mg/100 gであり、調理法では「蒸す」、「炒める」調理品が高い傾向がある(表2)。
- 葉身の調理品のトリカフェオイルキナ酸含量は18.3~28.6 mg/100 gであり、「炒める」調理品が高い傾向がある(表2)。
- 葉身の調理品の総ポリフェノール含量は203.8~401.3 mg 没食子酸相当量/100 gであり、調理法ではカフェ酸誘導体総量と同様に「蒸す」、「炒める」調理品が高い(表2)。
- 葉身の調理品の抗酸化力(DPPHラジカル消去活性およびORAC)は、カフェ酸誘導体総量および総ポリフェノール量と相関が高い(表3)。
成果の活用面・留意点
- 一般家庭やレストランなどで「すいおう」葉身を利用した調理を行う際に参考となる。
- 「すいおう」生葉の機能性成分含量は、栽培履歴や収穫時期により変動する。
具体的データ




(菅原晃美)
その他
- 研究課題名:いも類・雑穀等の機能性の解明と利用技術の開発
- 中課題整理番号:312a
- 予算区分:基盤、新需要創造フロンティア育成事業
- 研究期間:2009~2010 年度
- 研究担当者:菅原晃美、根岸由紀子( 女子栄養大) 、甲斐由美、石黒浩二、沖智之、須田郁夫
- 発表論文等:菅原ら(2011)日調科誌、44(4):291-298