黄肉色サツマイモに含まれるカロテノイド
要約
黄肉色サツマイモの色素主成分はβ-カロテン5,8;5’,8’-ジエポキシドとβ-クリプトキサンチン5’,8’-エポキシドである。含まれる複数のカロテノイド成分は橙肉色サツマイモと共通であるが、成分割合と総含量が大きく異なる。
- キーワード:サツマイモ、β-カロテン、β-クリプトキサンチン、エポキシド
- 担当:九州沖縄農研・機能性利用研究チーム
- 代表連絡先:電話0986-24-4274
- 区分:九州沖縄農業・畑作、九州沖縄農業・フードシステム
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
サツマイモの肉色は、白、黄、橙および紫など多彩である。橙色サツマイモの色素主成分はβ-カロテン、紫色サツマイモの色素主成分はアントシアニンであり、これらの色素成分の機能性効果も多数報告されている。しかし、需要の大部分を占める黄肉色サツマイモの色素成分に関する報告はほとんどない。そこで、黄色に関わる成分を同定し、その特性を評価する。
成果の内容・特徴
- 黄肉色サツマイモには複数のカロテノイド成分が存在する。橙肉色サツマイモと成分は共通であるが、その成分割合と総含量が大きく異なる(図1、表1)。
- 黄肉色サツマイモのカロテノイドの主成分はβ-カロテン5,8;5’,8’-ジエポキシドとβ-クリプトキサンチン5’,8’-エポキシドである(図1、2)。
- イポメアキサンチンA, C1およびC2は黄肉色サツマイモから単離された新規のカロテノイド成分であり、橙肉色サツマイモにも含まれる(図1、2)。
- 黄肉色サツマイモの総カロテノイド含量は、肉眼による肉色判定をよく反映しており、肉色判定の参考値となる(表1)。
- β-カロテン5,8;5’,8’-ジエポキシドとβ-クリプトキサンチン5’,8’-エポキシドのラジカル消去能はβ-カロテンより低く、イポメアキサンチンAのラジカル消去能はβ-カロテンと同等である(表2)。
成果の活用面・留意点
- 本成果はサツマイモやサツマイモ加工食品を扱う企業等により活用できる。
- 総カロテノイド含量は黄肉色サツマイモの肉色判定の参考値として利用できる。
- サツマイモ品種や系統の特性(肉色)評価において、カロテノイドの成分組成は黄~橙肉色の色調解析に利用できる。
具体的データ




(甲斐由美)
その他
- 研究課題名:いも類・雑穀等の機能性の解明と利用技術の開発
- 中課題整理番号: 312a
- 予算区分: 基盤
- 研究期間:2006~2010 年度
- 研究担当者: 甲斐由美、石黒浩二、吉永優、吉元誠
- 発表論文等: 1) Ishiguro K. et al. (2010) Breeding Sci. 60(4):324-329
2) Maoka T. et al. (2007) Phytochemistry 68(13):1740-1745