エンバク「たちいぶき」の根内でサツマイモネコブセンチュウの発育は抑制される
要約
エンバク「たちいぶき」の根に侵入したサツマイモネコブセンチュウ2期幼虫は、雌成虫に発育する割合が低い。
- キーワード:エンバク、サツマイモネコブセンチュウ
- 担当:九州沖縄農研・九州畑輪作研究チーム、難防除害虫研究チーム
- 代表連絡先:電話096-242-7734
- 区分:九州沖縄農業・病害虫、九州沖縄農業・畑作
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
エンバク「たちいぶき」は、九州地域で発生する主要な3種ネコブセンチュウの増殖性がいずれも低く、秋作(夏播き栽培)による線虫密度増加の抑制と、翌年の後作サツマイモにおける線虫被害の抑制が認められている。本研究では、最重要有害種であるサツマイモネコブセンチュウの「たちいぶき」根に対する侵入とその後の発育を調査し、増殖抑制の実態を解明する。
成果の内容・特徴
- サツマイモネコブセンチュウ2期幼虫は「たちいぶき」の根に侵入する。その侵入は、線虫増殖性の高い「はえいぶき」に対する侵入と同程度である(表1,図1)。
- 「たちいぶき」の根に侵入したサツマイモネコブセンチュウは、接種30日後においても、その50%以上が2期幼虫で、雌成虫に発育する割合が「はえいぶき」より低い(表2)。「たちいぶき」では、接種45日後においても雌成虫はほとんど認められない(データ省略)。
- 「たちいぶき」においてサツマイモネコブセンチュウの増殖が抑制されるのは、根に侵入する2期幼虫が少ないからではなく、主として侵入した個体の多くが雌成虫への発育を抑制されるからである。
成果の活用面・留意点
- 「たちいぶき」におけるサツマイモネコブセンチュウ増殖抑制の仕組みを解明する上で、基礎的な情報となる。
具体的データ
(立石靖)
その他
- 研究課題名:地域条件を活かした高生産性水田・畑輪作のキーテクノロジーの開発と現地実証に基づく輪作体系の確立
- 中課題整理番号:211k.9
- 予算区分:基盤
- 研究期間:2009~2010年度
- 研究担当者:立石靖、岩堀英晶、上杉謙太
- 発表論文等:1) Tateishi Y. et al. (2011) Nematol. Res. 41(1): 1-7