水稲新品種候補系統「北陸158号」の育成
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要約
「北陸158号」は「ササニシキ」の胚乳突然変異の半糯遺伝子を持つ低アミロース系統で、特有の玄米の濁りがなく、炊飯米の食感がよく、アミログラフ特性も良好なことから、混米、おにぎり、米菓等の加工原料としての利用が見込まれる。
- 担当:北陸農業試験場・作物開発部・稲育種研究室
- 連絡先:0255-26-3239
- 部会名:作物生産
- 専門:育種
- 対象:稲類
- 分類:普及
背景・ねらい
米の潜在的な需要・供給のアンバランスは拡大する傾向にあり、需給の均衡化を進めるためには米の形質を多様化して用途の拡大を図る必要がある。
そこで、低アミロースの米は一般に粘りが強く、食味が良くなる傾向にあり、膨化性が良く、米菓等の原料としての利用も期待されることから、「ササニシキ」の突然変異系統を母本として、栽培特性の向上を図った。
成果の内容・特徴
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「北陸158号」は「北陸127号」を母とし、農業技術研究所が「ササニシキ」の種子に薬品処理をして誘発した半糯性突然変異系統「研系2078」を父として昭和61年に交配し、耐倒伏性等の栽培特性の優れた低アミロース系統の育成を目標に選抜を行った。
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出穂期及び成熟期は「アキニシキ」並の「晩生の早」で、草型は短稈の偏穂重型で、収量性は「アキニシキ」よりやや劣る。玄米は半糯性特有の濁りはなく、品質は「中上」である。
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炊飯米は粘りが強く、食味は「日本晴」より良好で、混米することによって食味の劣る品質の食味を向上させることが可能である。また、老化が遅いことから「おにぎり」にも向く。
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アミログラフ特性等の米粉の理化学的特性が優れ、ソフトタイプの米菓等の加工適性も良好である。
成果の活用面・留意点
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栽培適地は北陸、東北南部、関東以西であるが、耐冷性が弱いので山間の冷害常襲地帯は除く。
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収量確保のために適正量の穂肥の施用を行う。
具体的データ

その他
- 研究課題名:寒冷地南部向き新形質・超多収品種の育成
- 予算区分 :総合的開発(超多収・新形質米)
- 研究期間 :平成6年度(昭和61年~平成6年)
- 発表論文等:なし