低アミロース水稲新品種候補系統「関東168号」の育成
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要約
水稲「関東168号」は「コシヒカリ」のMNU処理突然変異によって育成された、低アミロース系統である。「コシヒカリ」並の早生に属し、アミロース含量・千粒重・収量以外の諸特性は「コシヒカリ」と同一である。米の用途は、加工米飯、米菓、一般米飯、おにぎりなどに適する。
- 担当:農業研究センター・作物開発部・稲育種研究室
- 連絡先:0298-38-8950
- 部会名:作物生産
- 専門:育種
- 対象:稲類
- 分類:普及
背景・ねらい
各種食品に要望される品質や消費者ニーズが多様化する中で、一般米に対しても「コシヒカリ」よりも粘りが強い良食味米及び各種米飯加工、米菓加工に適する品種が求められている。低アミロース等の澱粉の改変の上で突然変異の有効性が示されていた。
成果の内容・特徴
- 「関東168号」は、1985年に農業研究センターで、「コシヒカリ」にMNU(メチルニトロソウリア)処理を行って、突然変異を誘発し、その後代から育成された低アミロース系統である。
- 出穂期、成熟期、稈長などアミロース含量と千粒重・収量以外の諸特性は「コシヒカリ」と同一である。
- 「コシヒカリ」と同様、耐冷性は極強、穂発芽性は難である。また、耐倒伏性は弱で、いもち病抵抗性も弱である。
- 外観品質は「コシヒカリ」並であるが、千粒重はやや軽い。収量は「コシヒカリ」よりやや低い。アミロース含量は、9%~12%で玄米はやや不透明となる。米の用途は、一般の良食味米飯、加工米飯、おにぎり、炊込み米飯、胚芽米飯、米菓など多くの用途に適する。
成果の活用面・留意点
- 適応地帯は南東北以南の「コシヒカリ」栽培地帯である。
- 耐倒伏性が「コシヒカリ」並に弱いため、施肥管理は「コシヒカリ」並とし、多肥栽培は避ける。
- 成熟後期の倒伏などにより、品質を悪化させないように適期刈りに努める。
- 耐冷性極強、穂発芽性難であり、低アミロースの良食味母本として有効であると考えられる。
具体的データ

その他
- 研究課題名:温暖地東部向き新形質・超多収品種の育成
- 予算区分 :経常・新形質米
- 研究期間 :平成6年度(昭和60年~平成6年)