コムギ半数体育種法(トウモロコシ法)の効率化のための温湯除雄法

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要約

トウモロコシ法の省力化に有効であると考えられるコムギの温湯除雄法を開発した。処理温度は43°C、処理時間は3~7分間が適当である。

  • 担当:農業研究センター・作物開発部・麦育種法研究室
  • 連絡先:0298-38-8941
  • 部会名:作物生産
  • 専門:育種
  • 対象:麦類
  • 分類:研究

背景・ねらい

半数体育種法の実用化のためには半数体の大量作出技術の確立が不可欠である。コムギの除雄はトウモロコシ法による半数体作出過程のうち、最も労力を要する作業であり、トウモロコシ法の実用化のためには簡易な除雄法の開発が求められている。

成果の内容・特徴

  • 処理時間を7分間とし、温湯処理温度と除雄率の関係を検討した結果、43°C処理区で100%の除雄率が得られた(表1)。
  • 処理温度を43°Cとし、処理時間を検討した結果、3~15分間の処理で80%以上の除雄率を得ることができた(図1)。
  • コムギとトウモロコシとの交雑種子は半数性幼胚の摘出適期にあたる授粉後12日目になっても胚乳が充実しない。一方、コムギの自殖種子は胚乳が膨らむため、除雄できなかった小花は外観により容易に判別することができる。
  • 温湯除雄処理は幼胚あたりの半数体成育率(表2のP/E)を低下させることが明らかになった。半数体成育率の低下の度合は処理時間を3分間に短縮しても軽減されなかった。(表2)。
  • 以上の結果から、コムギの温湯除雄法として、処理温度は43°C、処理時間は3~7分間が適当であると考えられる。3分間処理は、7分間処理より除雄率は低いが、短時間で多くの穂を処理できるという長所を有する。

成果の活用面・留意点

温湯除雄法は除雄の省力化には有効であると考えられるが、半数体成育率を低下させる。これを防ぐための幼胚培養法の改善等を図ることが望まれる。

具体的データ

表1 温湯処理温度と除雄率の関係

表2 半数体作出効率に対する温湯除雄処理の影響

図1 温湯処理時間と除雄率の関係

その他

  • 研究課題名:高品質小麦育成のためのトウモロコシ法の実用化
  • 予算区分 :高品質輪作
  • 研究期間 :平成6年度(平成3~5)
  • 発表論文等:トウモロコシ法の省力化のためのコムギの温湯除雄法の開発、育種学雑
                      誌、44巻(別2)(299), 1994.