大麦・小麦の虫害による減収量の推定

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要約

害虫類が圃場で大麦・小麦を食害することにより、どの程度の減収・品質低下を引きおこすかを6年間調査した。防除区と比較して、無防除区では平均大麦5%、小麦8%減収したが品質(等級)低下は認められなかった。

  • 担当:農業研究センター・病害虫防除部・畑虫害研究室
  • 連絡先:0298-38-8939
  • 部会名:生産環境
  • 専門:作物虫害
  • 対象:麦類
  • 分類:研究

背景・ねらい

農作物の生産上向上をはかる上で、病害虫防除は作物・地域・年等により、その重要性は同じではない。防除を適確に行わなければ、重大な損失を引きおこす こともあり、時によっては無視した方が経営的に有利なこともある。大麦(カシマムギ)と小麦(農林61号)を一般的に行われている肥培管理に従って畑圃場 で栽培し(表1)、防除区と無防除区の収量・品質を比較した。

成果の内容・特徴

  • 大麦・小麦の発芽に被害を与えるトビムシ類、および立毛中に被害を与えるハモグリバエ・ヒメトビウンカ・アブラムシなどを対象として防除を行った。
  • 大麦で防除区:無防除区収量の6年間の比較値は平均 100 : 95(変動幅91~99)、粗収入差は597~6030円/10aであった(表2)。
  • 小麦では収量の比較値は平均100:92(変動幅86~97)、粗収入差は2327~10506円/10aであった(表2)。
  • 害虫による被害は、麦の品質(等級)にはほとんど影響しなかった(表3)。

成果の活用面・留意点

  • ムギアカタマバエ等重要害虫の発生地帯を除いて、関東から中国地方に適用できると考えられる。
  • 害虫の発生状況を調査する必要がある。

具体的データ

表1 播種期・収穫期・殺虫剤処理

表2 大麦・小麦の殺虫剤防除区と無防除区における収量比と粗収入差

表3 殺虫剤防除区と無防除区における収量・品質等の比較

その他

  • 研究課題名:ムギ害虫の被害実態の解明
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成6年度(昭和63年~平成6年)