住民による地域活力の向上策

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要約

1)地域の住民が活力を生む過程は、[現状認識→意識化→願望→行動→効力感・充実感→満足感を得る]なかでなされる。2)住民が活力を生み・高めるための(1)短期的方策は、[動機づけ→意識と問題の整理→条件の整備→諸行動の推進→信頼関係の醸成]で進めることが重要であり、かつ中・長期的方策は、主体性を育てる、推進の中核組織をつくる、「共」のつちかい、などが大切である。

  • 担当:農業研究センター・農業計画部・農業組織研究室
  • 連絡先:0298-38-8425
  • 部会名:経営
  • 専門:農村計画
  • 対象:
  • 分類:普及

背景・ねらい

むらづくりや地域おこしには、地域の人たちの活力の向上が重要である。地域の人達は、なにがどう作用した時に意識が変わり、行動が生まれ、その結果とし て地域の活力が高まって行くのか。ここでは、事例研究の積み重ねに基づいて、地域の人達が活力を生み・高めてくる過程と、そのための方策を提示した。

成果の内容・特徴

  • 地域の活力向上に重要なことは、地域の人達の願望の具体化とそれに基づく行動である。そして、その行動あるいは活動の結果、願望(や共通目標)が達成され、効力感・充実感をもたらす中で、活力の向上をみている。
  • 地域が活力を生む過程は、(1)現実に対する認識・疑問→(2)それに対する意識化(これでいいか)→(3)こうありたい・変えたいと いう願望→(4)それを実現するための行動・活動→(5)活動の結果としての「効力感」(手応え)・「充実感」・「満足感」(心も満たす)が得られる、と 一般化できる(表の上段参照)。
  • 地域が活力を生み・高める短期的方策は、(1)動機づけ→(2)意識や問題の整理→(3)条件の整備→(4)諸行動の推進→(5)信頼関係の醸成、で進めることが重要である。そのために、地域の状況・実状を踏まえ、表の中段に示した諸方策を講じる必要がある。
  • 地域の活力は、上記3の短期的方策で順調な進展をみない場合があるし、与件の変化で困難になることもある。それらに対応するには、中・ 長期的方策として、(1)自主性・主体性を育てる活動(今日では特に地区公民館活動が重要)、(2)活力ある地縁組織の形成を図る(特に自由性があって、 推進・統括する中核組織をつくる)ことが大切である。また、地区・地域における「共に」「一緒に」やろうとする「共」をつちかう取り組み(なかでも、家族 の温かみ・思いやりの再構築)は、地域活力向上の基底的要件である。

成果の活用面・留意点

地域において、機能性・経済性・合理性を強く押し進め、相互の協力や人の心・感性を否定的に扱ってきたところで、展開の壁にぶつかっている場合がある。 したがって、地域の活力向上には、機能性・経済性・合理性と合わせて、地域や人を思いやる心(地域愛や家族愛など)の見直しとそれも重視した取り組みが必 要である。

具体的データ

表 地域の活力向上の過程と方策

その他

  • 研究課題名:中山間農村における地域活力の形成条件の解明
  • 予算区分 :経常研究
  • 研究期間 :平成6年度(平成4年~7年)
  • 発表論文等:中山間地域の地域活力向上の方策、農業および園芸、70巻1号、1995