作業リスクを考慮した多目的営農計画手法

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

降雨条件などに起因する作業遅延や作業不能といった作業リスクを回避する作付計画の策定が可能な計画手法を開発した。余暇目標や所得目標といった多様な営農目標の優先順位も組込むこともできる。本手法の適用によって技術体系の経営的評価や営農現場に適用し得る営農計画の策定が可能になる。

  • 担当:農業研究センター・プロジェクト研究チーム・プロ1チーム
  • 連絡先:0298-38-8512
  • 部会名:総合研究部会
  • 担当: 農村計画小部会
  • 専門:農村計画
  • 対象:稲類、豆類、麦類
  • 分類:普及

背景・ねらい

大規模水田作経営では降雨条件などによる作業遅延や作業不能といった作業リスクの回避が重要である。また、経営主体の多様化に伴い営農目標も所得目標や 余暇目標など多様化してきている。これらの諸条件を明示的に考慮できる営農計画手法および技術の経営的評価手法が営農現場で必要となっていた。

成果の内容・特徴

  • 作業リスクを回避した作付計画が策定可能 各年の降雨パターン等に対応した作業能率、作業可能時間を設定できるため、計画対象のどの年にも作業可能な作業リスク回避型の作付計画を策定できる(計画例=図1、図2)。また、事前に特定の降雨パターンを予想し、それに最も対応した作付計画も策定できる(計画例=図3、図4)。
  • 多様な営農目標に対応した営農計画が策定可能 所得目標や余暇目標などの営農目標に優先順位を設定できるため、所得追求型営農計画から余暇優先型営農計画まで多様な営農計画が策定できる。
  • 適性経営面積等の算出および技術の経営的評価が可能 経営面積に制約を設けない場合には適正面積が算出できる。また、栽培様式・作物・品種・作期ごとの最適作付面積の分析によって技術の経営的評価ができる。

成果の活用面・留意点

本手法の適用には、対象とする栽培様式別・作物別・品種別・作期別・時期別の機械作業時間や労働時間、時期別作業可能時間や労働可能時間、作物・品種・ 作期別の収益および費用等の資料が必要になる。また、計算には目標計算法ソフトウェア(提供可能)が必要になる。モデル作成技能の修得に若干の研修が必要 である。

具体的データ

図1 作業リスク回避型の作付計画

図2 図1の作付計画に対応する必要作業時間と多雨年の作業可能時間

図3 小雨年のみに対応した単年作付計画

図4 図3の作付計画に対応する必要作業時間と多雨年の作業可能時間

その他

  • 研究課題名:輪作営農計画手法の開発
  • 予算区分 :経常、高品質輪作
  • 研究期間 :平成5~7年
  • 発表論文等:水田作経営における技術選択と適正経営面積、日本農業経済学会大会報
                      告要旨、pp.2-3, 1994.