葉菜類に対する還元型ビタミンC簡易迅速測定法(RQフレックスシステム)の適用性と測定例

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

最近発売されたRQフレックス羽システムによる還元型ビタミンC含量の測定は、メタリン酸5%溶液中でも測定可能で、高速液体クロマトグラフィーによる測定値との比較から、葉菜類の簡易迅速測定法として十分適用可能であり、現場での個体単位の測定も容易である。

  • 担当:農業研究センター 耕地利用部 野菜導入研究室
  • 連絡先:0298-38-8529
  • 部会名:野菜・茶業
  • 担当: 関東・東海(野菜・花き)
  • 専門:栽培
  • 対象:葉菜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

野菜、特に葉菜類はビタミンや食物繊維の補給源として健康増進上必要不可欠である。しかし、周年にわたり、各種産地、各種栽培法によって生産され、これらの成分が変動していることが考えらる。また、多くの野菜の消費が、1個体、1果実単位であり、この単位で上記の成分が簡易に測れることは、測定精度を多少犠牲にしても栽培研究上有効である。この様な中で、1994年より検体を分離、精製せずに、15秒で還元型ビタミンC(以下VCと略す)含量を測定できるシステム(以下RQと略す)が発売されたので、どのような野菜に対し、簡易測定法として利用できるかを明らかにしようとした。

成果の内容・特徴

  • 水溶液での使用が標準となっているが、VCの変化を防ぐためのメタリン酸5%溶液中でも使用可能である。しかし、200ppm以上では値がやや大きくなり、高精度が必要なら200ppm以上でy=0.83x+18.9(r=0.999)の変換を施す(図1)。
  • 野菜27種類など44条件に対して、試料約100gに等量の10%メタリン酸を加え、ミキサーに30秒かけ、濾過後RQと高速液体クロマトグラフィー (以下HPLCと略す)(さらに適当に希釈し、45μmメンブレンフィルタで濾過後、Finepack SIL C18Sカラムで分離)の測定値を比較したところ、果菜、根菜の一部に差異が見られるが、全体として相関が高く(r=0.995)、葉菜類では簡易法とし て十分用いることができる(表1)。
  • ナス、オクラでは比率で50%以上の差異を生じた。しかし、絶対値の差は大きくなく、また、HPLC上で多数の重なり合うピークが生じているので、HPLCの値を含め、再検討を必要とする。なお、ナスは果皮の濃い色が濾液にでるが、この色の影響は少ない(表1)。
  • チンゲンサイは30-22°Cの栽培条件では高温ほどVC含量が高く、地上部重より安定し、屋外では個体によるバラつきが大きくなるなど、生育量より栽培環境との関連が深い(図2)。

成果の活用面・留意点

本システムは小型軽量なので、研究調査現場や流通場面での野菜の鮮度チェックに利用できよう。測定には磨砕の前に水と10%メタリン酸を加えてミキサー にかけ易くする。その後直ちに測定するため、所定の希釈とメタリン酸5%溶液に同時にする方法を計算する簡易なプログラムも作成した。また、ミキサーにか ける時間は30秒程度であるが、最適値はあらかじめ検討する。濾過しない場合は、反射に影響があるので泡が試験紙に付かないように注意する。

具体的データ

図1 RQフレックスによるアスコルビン酸標準液の測定

図2 チンゲンサイ中の還元型アスコルビン酸濃度に及ぼす温度と生育量の影響

表1 野菜100gあたりの還元型アスコルビン酸量

その他

  • 研究課題名:有機物の施用戦略の策定による葉花果菜の高品質生産システムの構築
  • 予算区分 :別枠(物質循環)
  • 研究期間 :平成6年度(平成4~10年)
  • 発表論文等:なし