アメリカセンダングサの水田での生育・種子生産特性
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要約
アメリカセンダングサの水稲収穫作業に対する障害は初期に発生する個体による。発芽直後の本草種は,ベンスルフロンメチルにより,根の伸長を抑制されるが枯殺されない。切断茎上でも種子の登熟は進み,発芽力のある種子が生産される。
- 担当:農業研究センター・耕地利用部・水田雑草研究室
- 連絡先:0298-38-8953
- 部会名:作物生産
- 専門:雑草
- 対象:水稲
- 分類:研究
背景・ねらい
アメリカセンダングサは,すでに大正時代には我が国に帰化していたが,従来水田で雑草化することは比較的まれであった。ところが農業改良普及センターを対象とした最近のアンケート調査で,水田で本草種が全国的に最も被害の大きな帰化雑草となっている実態が明らかにされた他,北陸,東海地方では水稲収穫作業の障害になるとの問題点も指摘されている。他方,現在,水田で広く使用される一発処理除草剤に含まれるスルホニルウレア剤は,本草種を含むBidens属
に対して効果が劣ることも知られる。そこで本草種の水田での生育・種子生産特性を調べ,耕種的な手段を含む,本草種の防除に有効な管理法の確立をめざす。
成果の内容・特徴
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水稲群落内に移植したアメリカセンダングサの個体生育量は,移植時期が遅くなるに従い,指数関数的に減少するので,水稲収穫作業に対して障害となるのは,初期に発生する個体である。(図1)
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アメリカセンダングサの水稲収量に対する影響は,初期に発生した生育量の大きな個体でも直近の16株における約13%の減収に限定された。従って30aの水田に300個体が散在する条件では,圃場全体の減収率は1%未満である。(図2)
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現在,水田で最も広く使用されている一発処理剤の主要成分であるベンスルフロンメチルは,発芽直後のアメリカセンダングサの根の伸長に対して強い抑制効果がある。しかし,胚軸の伸長に対しては影響が少なく,また即効的に個体を枯殺することはない。(図3)
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水稲収穫時,または収穫作業前に刈り倒されたアメリカセンダングサの茎葉上においても,種子の登熟は進み,開花後8日目に刈り倒された場合でも発芽力のある種子を生産する。(図4)
成果の活用面・留意点
- アメリカセンダングサの防除体系確立のための基礎資料として活用できる。
- スルホニルウレア系除草剤を含む,他の土壌処理除草剤の効果については別途検討が必要である。
具体的データ
図1:アメリカセンダングサ幼植物の水田への移植時期と水稲収穫時の生育量
図2:アメリカセンダングサが水稲収量に及ぼす影響
図3:アメリカセンダングサの胚軸長および根長に対するベンスルフロンメチルの効果
図4:アメリカセンダングサの刈り倒し時期と種子の登熟
その他
- 研究課題名:水田強害帰化雑草の生存戦略の解明と制御技術の開発
- 予算区分 :特別研究『強害雑草』
- 研究期間 :平成8年(平成5年~8年)