キタネグサレセンチュウに対する非寄生作物、サトイモの密度低減効果
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要約
前作にサトイモを栽培すると,キタネグサレセンチュウの密度を休耕並に抑え,後作ダイコンの同線虫による被害を回避することが出来る。
- 担当:農業研究センター・病害虫防除部・線虫害研究室
- 連絡先:0298-38-8839
- 部会名:生産環境
- 専門:作物虫害
- 対象:根菜類
- 分類:指導
背景・ねらい
耕種的防除法の一つに対抗植物を利用した線虫防除がある。これらは,高い線虫密度低減効果を発揮するが,それ自体商品価値がないため,普及・拡大に至っていない。そこで,線虫防除と収益性を兼ね備えた非寄主作物を選択し,それらを前作に取り入れて後作物の線虫被害回避をねらう。
成果の内容・特徴
キタネグサレセンチュウ発生圃場において、1年目に非寄主作物のサトイモ、寄主作物のインゲンマメ→シュンギク、対抗植物のマリーゴールド、休耕区の4処理区(1区9.72m2、3連制)の試験区を設け,それぞれの区の跡地に2年目に根菜類を栽培したところ,以下の結果を得た。
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非寄主作物,サトイモの栽培は休耕と同等の密度低減効果を示し,収穫時の線虫密度を播種時の11%に低下させた(表1)。
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異なる前作物跡地にニンジン,ゴボウ,ダイコンを栽培した結果,いずれも前作物のマリーゴールド,サトイモ,休耕,インゲンマメ→シュンギクの順に線虫密度抑制効果が高かった(表2)。
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サトイモはマリーゴールドと同等程度で、休耕より高く3種根菜類の線虫密度を低下させ,ダイコン肥大根表面の病斑指数を良く抑えた(表2)。
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ダイコン病斑指数(Y)と栽培前線虫密度(X)との間に=7.14+7.47lnX(r=0.878**)の関係が認められた。この関係式から,播種時に土壌20g当たり,幼虫数が20頭の場合には,病斑指数は25%(被害程度小)となるが,この程度に線虫密度を抑えることが必要である。
成果の活用面・留意点
ミナミネグサレセンチュウの混発している圃場では,サトイモが寄主のため使用できない。
具体的データ

表1:キタネグサレセンチュウの増殖に及ぼす作物の効果(1995)

表2:前作物が根菜類栽培後のキタネグサレセンチュウの増殖に及ぼす効果
その他
- 研究課題名:有害線虫の耕種的・物理的防除技術の開発
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成8年度(平7~10年度)