米麦用循環式乾燥機を利用したモミガラ混合大豆乾燥調製法

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要約

市販の米麦用縦型循環式乾燥機にモミガラを大豆に容積比で1/2以上混合し、乾燥機の搬送用モータの回転数を通常の40%に落とせば、破砕等の機械的な損傷を0.5%以下に押さえられる。これにより大豆用の新たな乾燥機を必要とせずに大豆を乾燥することができ、また多少のクリーニングも同時にできる。

  • 担当:農業研究センター・機械作業部・畑作機械化研究室
  • 連絡先:0298-38-8813
  • 部会名:作業技術
  • 専門:機械
  • 対象:大豆
  • 分類:指導

背景・ねらい

コンバインで収穫された大量の大豆を乾燥する手段として、静置式乾燥機などの大豆専用の乾燥機の利用が考えられてきたが、導入コストや搬入、搬出のハンドリングの労力の面で問題がある。そこで米麦用の乾燥機として普及している縦型循環式乾燥機を利用し、最小限の改良により大豆にも利用できる技術の開発を図った。

成果の内容・特徴

  • 市販の米麦用循環式乾燥機(容量約4m3)にインバータを取り付けて、搬送用モータの回転数を通常の40%に落とし、乾燥したモミガラ(水分10%程度)を容積比で約1/2(乾物重量比で約8%)混入した場合、機械的な損傷粒の発生を0.5%に抑えられた(図1、表1)。また、モミガラは一箇所に堆積することもなく、ほぼ均等に混合した状態で乾燥機内を循環した。
  • スクリューオーガにおけるモミガラ混入による機械的損傷軽減効果はスクリュー軸の回転速度の低減効果よりも大きかった(図2)。
  • モミガラを混入することにより、汚粒のクリーニング効果も多少認められた。(図3)。
  • モミガラによる大豆表面の傷の影響を調べるため、大豆を24時間浸漬した水溶液の導伝率を調べた結果では対照の大豆(モミガラなし)、および自然乾燥の大豆との差は認められず、溶出による導伝率の変化はともに基準以下であった(表1)。
  • 乾燥終了後、モミガラは乾燥機穀粒排出口に連結したモミガラ分離器(モミガラが混入した大豆を傾斜した円筒内で流下させ、下流側から送風することによって、モミガラを吹き飛ばす)により、自動的に分離される(図4)。

成果の活用面・留意点

  • モミガラは乾燥期間中、送風機から少しずつ排出されるので時々補充する必要がある。また飛散防止用に送風機出口のダクトにネットの袋などをつける。一度使用したモミガラは処分し、新たな乾燥したモミガラを使用した方がよい。
  • 通風温度については、平成6年度関東東海農業の新技術(p319-324)及び平成6年度総合農業成果情報(p213-214)に記載の制御法を守り、水分が18% 以上では加温しないよう注意が必要である。

具体的データ

図1:循環式乾燥機での大豆の乾燥試験におけるモミガラの混合比と損傷率(重量%)との関係。循環速度は通常の40%
図1:循環式乾燥機での大豆の乾燥試験におけるモミガラの混合比と損傷率(重量%)との関係。循環速度は通常の40%

 

図2:スクリュウ軸におけるモミガラの混合比(容積比)と大豆損傷粒数(5回循環での5kg中の損傷粒)との関係。記号は回転速度(rpm)
図2:スクリュウ軸におけるモミガラの混合比(容積比)と大豆損傷粒数(5回循環での5kg中の損傷粒)との関係。記号は回転速度(rpm)

 

図3:モミガラ混合乾燥によるクリーニング効果
図3:モミガラ混合乾燥によるクリーニング効果

 

図4:循環式乾燥機と試作したモミガラ分離器
図4:循環式乾燥機と試作したモミガラ分離器

 

表1:循環式乾燥機利用1)によるモミガラ混合大豆乾燥試験結果(品種:タチナガハ)
表1:循環式乾燥機利用1)によるモミガラ混合大豆乾燥試験結果(品種:タチナガハ)

 

その他

  • 研究課題名:水田畑作物の次世代型インテリジェント乾燥調製技術の開発
  • 予算区分 :特別研究(新用途畑作)
  • 研究期間 :平成8~10年