集落消滅の実態と限界水準
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要約
「中山間地域活性化アンケート」の結果から集落消滅は中山間市町村の2割以上にみられ、とくに北陸、四国に多い。集落の限界戸数・人口は5戸前後10~15人で、消滅理由としては「人口減少による集落自治機能の低下」のウェートが高い。対策としては集落移転や自治会の統合等の再編があげられる。
- 担当:農業研究センター・プロジェクト研究第5チーム
- 連絡先:0298-38-8856
- 部会名:総合研究
- 専門:農村計画
- 対象:
- 分類:行政
背景・ねらい
中山間地域の活性化方策を講じたり、その空間利用計画を策定するにあたっては、集落自治組織を維持していくための限界戸数・人口の水準を明らかにすることが重要である。そこで、「中山間活性化アンケート」のデータ(回答市町村1,243)を用いて、集落消滅の実態から集落を維持するための限界水準を解明した。
成果の内容・特徴
集落消滅の実態と集落を維持していくための限界水準に関して、以下の点が明らかになった。
- 全国的分布
アンケート回答市町村(1,243)の2割以上(289)に消滅集落があり、北陸、四国が過去・今後とも多いのと、今後は中国、四国、九州でより多くの集落消滅が見込まれる(図1)。
- 限界戸数・人口
アンケートでは、「消滅せざるを得ない集落」の戸数・人口を聞いたが、その全国平均は5.6戸14.8人である(表1)。北陸、四国は限界水準が低いが(4戸10人で1家族2人程度)、東海、近畿は高い(6戸18人で1家族3人程度)といった地域差もみられるが、集落の限界水準は5戸前後、10~15人と考えられる。
- 消滅理由
消滅理由として最も多かったのは「人口減少による集落自治機能の低下」で、「買物困難」、「通勤困難」とつづく。ただし、北海道では「基幹作物の収益性の低下」、「耕作環境の悪化」のウェートが高く、沖縄では「基幹作物の収益性の低下」、「教育上の不安」のウェートが高いなど、その地域性が現れている(図2)。
- 市町村の対策
アンケートで集落消滅対策を聞いたが、市町村が挙げた集落消滅対策は、ア.集落移転(ハード的な集落再編イ
.自治会の統合(ソフト的な集落再編)、ウ.集落排水などの生活基盤整備の3つに整理できる。
成果の活用面・留意点
国・都道府県・市町村行政が中山間地域の空間利用計画を策定したり、集落再編施策を講ずる場合の基準となる。ただし、本成果はあくまでも「平均像」であるため、個々の集落に適用する場合、その地域性、歴史性など集落の個性に留意する必要がある。
具体的データ

図1:消滅集落市町村率

表1:消滅集落の限界戸数・人口

図2:消滅理由
その他
- 研究課題名:中山間地域活性化指標の類型化と活性化要因の解明
- -集落消滅の実態と限界水準-
- 予算区分 :別枠「中山間活性化」
- 研究期間 :平成8年度(平成6~8年)