家畜ふん堆肥の成分的特徴
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要約
全国各地の堆肥センターや畜産農家で製造・販売されている家畜ふん堆肥の成分組成について調査し、畜種別、敷料・副資材の有無等の観点から成分的特徴を明らかにした。本調査により、家畜ふん堆肥製品の肥料成分濃度が以前に比べて顕著に高くなっていることが明らかとなった。
- 担当:農業研究センター・プロジェクト研究第6チーム
- 連絡先:0298-38-8527
- 部会名:総合研究
- 専門:資源利用
- 担当:[対 象] 家畜類
- 分類:研究
背景・ねらい
全国各地の堆肥センターや畜産農家などで家畜排泄物を主原料とする堆肥が製造・販売されているが、これらの耕種農家における利用は必ずしも十分でない。家畜ふん堆肥の成分組成が不明確であることが利用を妨げる原因の一つと考えられる。そこで、製造・販売されている家畜ふん堆肥製品約800点の成分組成について全国レベルで調査し、その成分的特徴を明らかにした。
成果の内容・特徴
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畜種別にみると、水分は鶏&st;豚<牛の順、EC(電気伝導度)や肥料成分含有率は鶏>豚>牛の順、C/N比は鶏<豚<牛の順である。しかし、各成分とも標準偏差値が示す通り、バラツキの範囲は極めて広い(表1)。
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敷料・副資材の有無についてみると、これらを添加した堆肥では水分及びC/N比は高いこと、肥料成分含有率は希釈によって低下する傾向がみられる。また、鶏ふん堆肥ではCaO含有率が敷料・副資材無添加堆肥で著しく高いが、オガクズ添加堆肥では低い。これは、敷料・副資材無添加堆肥では採卵鶏のふんが、オガクズ添加堆肥ではブロイラーのふんが多いためと考えられる(表2)。
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製造方法については、水分及びC/N比は、副資材などの添加物が多い堆積方式で高く、副資材なしで発酵される密閉方式で低いこと、ECや肥料成分は密閉方式及び開放方式で高いが、堆積方式で低い傾向がある。
- オガクズ入り牛ふん堆肥と豚ぷん堆肥について、草地試験場(1978)と農蚕園芸局農産課(1982)がとりまとめた分析データと比較すると、最近の家畜ふん堆肥製品の水分は低く、肥料成分含有率は以前に比べて顕著に高くなっている(表3)。
成果の活用面・留意点
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家畜ふん堆肥を施用する場合の目安として利用できる。
- 家畜ふん堆肥の品質基準、施用基準などを策定する際の基礎情報として利用できる。
- これらの数値を使用する場合、バラツキの範囲が広いことに留意する必要がある。
具体的データ

表1:畜種別にみた家畜ふん堆肥の成分的特徴

表2:敷料・副資材別にみた家畜ふん堆肥の成分的特徴

表3:オガクズ入り家畜ふん堆肥についての既存データとの比較
その他
- 研究課題名:腐熟度評価法の開発並びに評価基準の策定-家畜ふん堆肥の成分的特徴-
- 予算区分 :総合的開発「家畜排泄物」
- 研究期間 :平成8年度(平成6年から8年)