ソラマメ品種の耐雪性および積雪日数と収量との関係

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要約

ソラマメの耐雪性には品種間差があるが、大粒種は全て耐雪性中程度で、積 雪日数40日までは収量は低下しないが、60日では約50%減収する。しかし不織布トンネル被覆によって積雪日数80日でも高収量が得られる。

  • 担当:北陸農業試験場・水田利用部・栽培生理研究室
  • 連絡先:0255-26-3241
  • 部会名:野菜・花き
  • 専門:栽培
  • 対象:果菜類
  • 分類:指導

背景・ねらい

ソラマメは季節感のある野菜として需要があり、北陸地域においても秋播き栽培がなされている。しかし、ソラマメは雪に弱く短期間の積雪によっても雪害を受けるため、不織布トンネルを施すことによって産地が形成されているが、積雪条件と収量との関係など基礎的な知見が不十分のままである。そこで、ソラマメの耐雪性の品種間差、播種日および積雪日数と収量との関係を明らかにし、積雪地でのソラマメ栽培の基礎資料を提供する。

成果の内容・特徴

  • ソラマメの耐雪性には50日程度の積雪日数では品種間差が認められるが、市場性の高い大粒種は全て耐雪性中程度に分類される。「倫玲」は、積雪日数73日の条件でも枯死株は10%程度と明らかに耐雪性が強いが、莢と子実は大粒種よりも小さい(図1、表1)。
  • 雪害枯死株率は播種日が早く越冬前の生育量が多いほど高くなる。積雪日数80日の条件で、「倫玲」は早播きでも雪害枯死株率は低く、収量は早播きするほど高い。しかし、大粒種の「打越一寸」は早播きでは雪害によって減収し、11月以降の遅播きによって雪害は回避できるが、収量は春播きに劣る(図2)。
  • 「打越一寸」の秋まき栽培は、冬季間不織布トンネル被覆することによって積雪日数80日、最深積雪90cmの条件でも雪害の回避が可能で、280kg/aの収量が得られる。しかし、露地栽培では積雪日数40日までは収量への影響はないが、60日で収量は半減する(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 積雪日数に基づきソラマメの栽培可能地域および栽培方法を判断する材料となる。
  • 強耐雪性小粒品種「倫玲」は耐雪性大粒品種を開発する育種素材として利用の可能性がある。
  • 収量は重粘土輪換畑において施肥量 N:P2O5:K2O=3.2:2.9:3.2kg/a、栽植密度219個体/aの条件で栽培して得られた稔実莢の総収量である。

具体的データ

図1.ソラマメ42品種の耐雪性の品種間差と分類

 

表1.耐雪性の分類と莢実形質

 

図2.播種日による雪害程度および収量の変動 図3.積雪日数と収量との関係

その他

  • 研究課題名:ソラマメの雪害機構の解明
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成8年度(平成5~8年)
  • 研究論文等:ソラマメにおける耐雪性の品種間差異.日作紀,第65巻別1号,60-61, 1996.ソラマメにおける耐雪性の品種間差異 2.越冬前のNSC含有率と花芽分化程度の影響.日作紀,第65巻別2号,103-104,1996.Snow injury of broad bean and avoidable cultivation techniqe. Abstract of 2nd International Crop Science Congress, 263, 1996.ソラマメにおける耐雪性の品種間差異.日作紀,第65巻別1号,60-61,1996.