北陸地域における冬期無加温施設で栽培した葉菜類の品質成分特性

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要約

ビタミンC含有率はナバナ,コマツナ,ホウレンソウで高く,シュンギクが最も低かった。糖類含有率はナバナが最も高く,他の3品目は同程度であった。硝酸イオン含有率はナバナが最も低かった。

  • 担当:北陸農業試験場・総合研究部・総合研究第2チーム,地域基盤研究部・米品質研究室
  • 連絡先:0255-26-3235,0255-26-3245
  • 部会名:野菜・花き
  • 専門:食品品質
  • 対象:花菜類・葉菜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

北陸地域においては冬季の日照時間が少なく,特に12月~1月の日照時間は極めて少ない。この時期の月間日照時間の平年値は60~80時間であるため,この時期を経過して施設で栽培されるホウレンソウ等の葉菜類は徒長しやすく軟弱に生育する。そこで,無加温ガラス室において,ナバナを9月中旬に,コマツナ,シュンギク,ホウレンソウを10月下旬~11月下旬に播種し,2月中旬と2月下旬に収穫し,品目の違いによる差異を検討した(表1)。

成果の内容・特徴

  • 収穫時の全長は,この時期の出荷基準とほぼ同じ長さであった(図1下段)。収穫物の重量は,ナバナ,コマツナが2,500g/m2以上と多かったが,シュンギクとホウレンソウは少なく,ナバナの半分程度であった(図1上段)。
  • ビタミンC含有率は,ナバナ,コマツナ,ホウレンソウで高く,シュンギクが最も低かった(図2上段)。
  • 糖含有率は,ナバナが他の3品目より明らかに高かった。また,2月下旬に収穫したコマツナの糖含有率は,シュンギクとホウレンソウに比べ高かった(図2中段)。
  • 硝酸イオン含有率は,シュンギクが最も高く,コマツナ,ホウレンソウが次いで高く,ナバナは最も低かった(図2下段)。
  • これらの結果は,「ビタミンC含有率の変動は糖含有率の変動に比べ小さい」,「糖含有率と硝酸イオン含有率との間には負の相関がある」という既存の知見と一致しており,品目間で比較した場合においてもこれらの傾向が示された。

成果の活用面・留意点

  • 無加温施設の割合が高い北陸地域において,冬期に施設で栽培する品目の選定と,栽培技術の改善を行うための基礎資料として活用できる。

具体的データ

表1.各品目の播種期と収穫期、栽植密度、調査部位

 

図1.調査した収穫物の全長と重量

 

図2.収穫物のビタミンC、糖類、硝酸イオン含有率

 

その他

  • 研究課題名:野菜用ナタネ類の生理生態的特性の解明
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成8年度(平成6~8年)
  • 研究論文等:積雪地の越冬野菜としてのナタネに関する研究(第2報)、園学雑、66巻別1、1997.他