ポット式成苗育苗箱を用いた水稲の障害型耐冷性の簡易検定法

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要約

ポット式成苗育苗箱で小型の材料を養成し、恒温水槽を利用して19.5°Cで冷水処理をおこなう水稲の障害型耐冷性の簡易検定法を開発した。本法は特殊な検定圃場や大量の冷水を必要とせず、小面積で簡便に耐冷性選抜が可能である。

  • 担当:農業研究センター・作物開発部・稲育種研究室
  • 連絡先:0298-38-8950
  • 部会名:作物生産
  • 専門:育種
  • 対象:稲類
  • 分類:研究

背景・ねらい

障害型耐冷性は寒冷地の品種にとって付与すべき特性であるが、直播適性品種は熟期の早生化も必要となっており、温暖地においても耐冷性は重要な特性である。従来の耐冷性検定は大量の冷水と整備された特殊検定圃場が必要であったが、小型の簡易な施設と材料の養成条件の組合せで、立地にかかわらず障害型耐冷性の選抜が可能かを検討する。

成果の内容・特徴

  • ポット式成苗育苗箱に1穴1粒播種(図1)し、育苗約40日後に人工培土を充填した野菜用育苗箱上に設置して戸外設置の恒温水槽(図2)で材料を養成する。
  • 最終的な材料の形態は1株1本立ちで、稈長50~70cm、穂長12~14cm、1穂あたり30~40籾の小柄の稲になるように育てる。
  • 極早生品種(中母35)の幼穂が10mm程度に達した時期を確認して、19.5°C・水深21cm の冷温処理を開始する。処理終了は供試材料の出穂終了日とし、不稔歩合は成熟後穂ごとに達観で調査して平均値を算出する。耐冷性の判定は基準品種の不稔歩合との比較で行なう。
  • 基準品種の不稔発生程度は従来の評価とよく一致し、簡易判定法として利用可能と判断される。

成果の活用面・留意点

  • 耐冷性の評価は熟期毎に行う。
  • 特殊検定圃場や大量の冷水確保が困難な育成地においても容易に耐冷性の選抜が可能となる。
  • 冷水処理の時期は検定対象熟期に合わせて設定すれば、あらゆる地域・熟期でも検定が出来るものと考えられる。

具体的データ

図1:耐冷性検定材料の播種方法

図2:使用した恒温槽の概略

表1:基準品種の不稔発生状況と耐冷性判定結果

その他

  • 研究課題名:温暖地向き良質水稲品種の育成
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成9年度(平成8年~9年)