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除草剤の適正使用の指標となる葉齢値は1時間気温値を基にした有効積算気温により推定できる。これにより,乾田直播でのヒメイヌビエと移植栽培でのタイヌビエの一定葉齢に必要な積算値を算出した。1日当たりの葉齢進展への有効積算気温値は24時間の平均気温とその較差によって近似値を算出できる。
制御可能な雑草の生育段階の範囲で除草剤を使用することは除草剤の効率的利用にあたっての原則であり,水稲用除草剤では通常それが雑草ヒエの葉齢で表示される。除草剤の適正使用時期の指標としての雑草ヒエの葉齢を,1時間気温値を葉齢進度へ寄与度に読替えた有効積算気温(Σε:ノビエ類とイヌホタルイの葉齢進展の温度指標,森田,雑草研究37別,1992)を適用して推定し,併せて1日当たりのΣεの簡易算出法を作成する。
茨城県新利根町太田新田での乾田直播栽培での乾田期間のヒメイヌビエの葉齢の進展は,イヌビエを対象に算定された1時間気温値の寄与度(εc)で算出した有効積算気温(Σεc)でよく表された(図1)。竜ヶ崎市の1990~94年の平均の1時間気温値を平年値として,気温の多様な変動を想定したヒメイヌビエの葉齢進展を播種時期と耕起・不耕起様式別に推定し,乾田期間の除草剤の好適散布時期の指標を作成した(表1)。
茨城県牛久市の(財)日本植物調節剤研究協会研究所での「水稲関係除草剤作用特性試験」の1990~94年の早期移植栽培でのノビエの葉齢を,タイヌビエを対象に算定された1時間気温値の寄与度(εo)で算出した有効積算気温(Σεo)で表すと,同値は平均気温より10°Cを控除して積算する従来法より年次間変動を低下させた(表2)。
有効積算気温(Σε)は雑草ヒエの葉齢推定に有効であるが,葉齢進展の実測値を0.1°Cごとにスプライン補完法で読み取って算定されたεに1時間気温値を読み替えるために,手順が煩雑である。竜ヶ崎市の1990~94年の4,5月の24時間の気温値の日平均値(X1)と較差(X2)は1日当たりの有効積算気温とよく一致した(図2)。次式により1日当たり有効積算気温の近似値を算出できる。
Y(Σεc)=0.0211x1+0.0014x2-0.2154(R2=0.932)
Y(Σεo)=0.0192x1+0.0007x2-0.1845(R2=0.963)