ベルマンロート法を用いた有害線虫の分離率

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

線虫密度の調査法として広く使われているベルマンロート法の線虫の分離率は、土壌量20g、分離時間72時間、紙フィルタ-1枚、浅水の処理条件の場合、キタネグサレセンチュウ及びサツマイモネコブセンチュウでほぼ100%、キタネコブセンチュウで33%であった。

  • 担当:農業研究センター・プロジェクト研究第2チーム
  • 連絡先:0298-38-8840
  • 部会名:生産環境,総合研究
  • 専門:作物虫害
  • 対象:害虫
  • 分類:研究

背景・ねらい

野菜生産で重要な害虫である有害線虫の調査法としてベルマンロート法が最も広く使われている。しかし、土壌中の線虫密度を推定するためには、分離個体数とともに分離法の分離率を把握する必要があるが、これについてはほとんど調べられていない。このため、ベルマンロート法を用いる際の分離条件の違いによる、分離線虫数の変動を調査するとともに、少量の土壌を水に懸濁して顕微鏡下で調べた線虫数と比較し、それぞれの条件における分離率を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • キタネグサレセンチュウの分離率は、分離条件を、土壌量20g、分離時間72時間、紙フィルタ-1枚、浅水とした場合に最も高く、ほぼ100%となった。土壌が冠水する条件下では分離率が低下する傾向が見られた。
  • キタネコブセンチュウの分離率は、同上の条件下で33%であった。土壌量10gの場合に72%と最も高く、処理時間が24時間では19%と低くなった。他の条件下では33~39%となった。
  • サツマイモネコブセンチュウの分離率は、同上の条件下で最も高く、ほぼ100%となった。土壌量が50gあるいは処理時間が24時間の場合に、それぞれ18%、60%と低かったが、他の分離条件では71~100%と高かった。

成果の活用面・留意点

上記の分離率は、褐色黒ぼく土、直径9cmのガラスロート、底面積約33cm2(直径6.5cm)の目皿、22~27°Cの変温等の場合の値である。この値は、土壌の種類、ロートの大きさ、フィルターの材質、分離時の温度条件等の違いによって異なる可能性がある。

具体的データ

図1:ベルマンロート法の分離条件と線虫の種類別の分離率

その他

  • 研究課題名:土壌線虫の簡易検診技術及び発生予察技術の開発
  • 予算区分:地域総合研究
  • 研究期間:平成9年度(平成9年~13年)