大規模潤土直播水稲栽培におけるイネいもち病の省力的防除法
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要約
北陸地方の平坦部水稲栽培における葉いもち発病盛期は、6月下旬から7月 下旬までである。このような地域の大規模潤土直播栽培における省力的葉いもち防除 法として、カルプロパミド水和剤を粉衣した催芽種子の播種が有効である。
- 担当:北陸農業試験場・水田利用部・病害研究室
- 連絡先:0255-26-3242
- 部会名:生産環境
- 専門:作物病害
- 対象:稲類
- 分類:研究
背景・ねらい
個人防除の弱体化や航空防除抑制への要望などから,機械移植栽培では育苗箱施薬用の残効性の長い薬剤の開
発と利用が進められている。直
播栽培においては育苗箱施薬が困難なことから、これに代わる省力で環境への影響が少ない防除技術の開発が
求められている。そこで、これら残効性の長い薬剤
の種子粉衣によるいもち病防除効果について検討する。
成果の内容・特徴
- 北陸地方の平坦部水稲栽培における葉いもち発病盛期は6月下旬から7月下旬までである。
- 直播栽培においては,催芽種子にカルプロパミド水和剤を10a当たり100gになるように湿粉衣し、翌
日に播種することによって7月下旬まで葉いもちを防除できる
(表1)。
この方法従来の水面施用や生育期散布に比べ省力的な防除法である。
- 7月下旬から8月上旬の上位葉の葉いもち発生が少なく、かつ出穂期が好天の時には薬剤粉衣した催
芽種子の播種によって穂いもちの発生も抑制できる
(表2)。
成果の活用面・留意点
- 過酸化水素剤の種子コーティングを行っていない催芽種子を使用している。
- 平坦部での試験であり、いもち病の常発地あるいは7月下旬や8月上旬まで葉いもちの発生が続く山
間地での有効性は不明である。
- 上位葉の発病が多い場合、あるいは出穂期に降雨が多く穂いもちの発生が懸念されるときには、穂い
もちに対して別途防除薬剤の散布を必要とする。
- カルプロパミドの粉剤、粒剤、フロアブル剤は登録済みであるが、水和剤は未登録である。
具体的データ


その他
- 研究課題名:大規模直播水田における病害の発生相の解明と省力的防除
- 予算区分 :実用化促進(地域総合)
- 研究期間 :平成9年度(平成5~9年)
- 発表論文等:なし