潤土直播栽培の出芽・苗立ち期における鳥害を想定した被害許容苗立ち数
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要約
潤土直播栽培では播種後の鳥害によって苗立ち数の減少が問題となるが、1m2当たり20本以上の苗立ち数が確保されると大きな減収とはならない。
- 担当:北陸農業試験場・水田利用部・虫害研究室
- 連絡先:0255-26-3243
- 部会名:生産環境
- 専門:作物虫害
- 対象:稲類
- 分類:研究
背景・ねらい
水田に直接種籾を播く直播栽培は、省力・低コスト稲作栽培技術である。しかし、水田に種籾を播くとカラス
、ハト、スズメ、カモ等が種籾
を食害し、出芽・苗立ち率を低下させ大きな問題となっている。鳥害防止にかかしや爆音機等が用いられてい
るが、鳥類はこれらが安全であることを学習する
と、それ以後は追い払い効果が無く、鳥害を完全に防ぐことは困難である。そこで、鳥害を想定した苗立ち数
の減少が収量に及ぼす影響を解析し、被害許容苗立
ち数の目安を得ようとした。
成果の内容・特徴
- 潤土直播栽培の標準播種量1m2当たり200粒(乾籾10a当たり7kg相当)を基準にして、その約90%までが
食害されたことを想定して解析を行う。
- 苗立ち数が減少すると1株当たり穂数、1穂籾数が増加し、単位面積当たり籾数が確保される補償作
用が認められる
(図1)。
- 「キヌヒカリ」は1m2当たり20本以上の苗立ち数があると減収は認められなかった。しかし、苗立ち
数が10本前後になると約30%の減収となる
(表1)。
- 「どんとこい」は1m2当たり苗立ち数が21.5本で約8%の減収となる。
- 潤土直播栽培では苗立ち数が1m2当たり20本以上確保されると、大きな減収とはならない。この値は
鳥害によって苗立ち数が減少した水田の被害許容苗立ち数の目安となる。
成果の活用面・留意点
- 水田内の高低差による深水や苗腐病等による出芽・苗立ち不良の場合は水稲の初期生育が低下するので、
被害許容苗立ち数の目安は適用できない。
- 集中的な食害を受け、極端な苗立ちむらが生じた所では、この目安は適用できない。
具体的データ


その他
- 研究課題名:大規模直播水田における害虫発生実態の解明と省力的害虫密度推定法の開発
- 予算区分 :実用化促進(地域総合)
- 研究期間 :平成9年度(平成5年~9年)
- 発表論文等:北陸病害虫研究会報第46号に投稿予定