水稲土中播種において土壌溶液アンモニア態窒素は苗立ちを悪化させる
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要約
土壌溶液中のアンモニア態窒素濃度の上昇は、表土播種した水稲種子の苗立ちに悪影響を与えないが、土中播種した水稲種子の苗立ち率を低下させ、生き残った幼植物の生育を悪化させる。
- 担当:北陸農業試験場・水田利用部・土壌管理研究室
- 連絡先:0255-26-3244
- 部会名:生産環境
- 専門:肥料
- 対象:稲類
- 分類:研究
背景・ねらい
水稲直播栽培の普及が進まない要因の一つとして苗立ちの不安定さが挙げられる。このため、苗立ち能力に優
れた品種の育成、苗立ち能力を
低下させない種子保存・調整方法、苗立ちを安定化させる施肥・播種方法などについて研究が行われている。
ここでは、肥料として投入される窒素が水稲の苗立
ちに与える影響について検討した。
成果の内容・特徴
- 土壌溶液のアンモニア態窒素濃度の上昇は、土中播種における水稲の苗立ちを悪化させ
(図1)
、生存個体の生育を低下させる
(図2)。
- 土中播種における水稲の苗立ちへの影響と対照的に、土壌溶液のアンモニア態窒素濃度の上昇は、表
土播種における水稲の苗立ちを悪化させず
(表)
、幼植物の生育を促進する
(図2)。
成果の活用面・留意点
- 土中直播の苗立ちを改善する施肥方法の開発に利用できる。
- 実際の圃場における土中直播での土壌溶液窒素の影響は未確認である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:潤土直播のための施肥管理技術
- 予算区分 :実用化促進「地域総合」
- 研究期間 :平成9年度(平成5~9年度)
- 発表論文等:1. Nitrogen of soil solution and seeds influence establishment percentage of rice
plants sown in submerged soil.(Soil Sci. Plant Nutr. に投稿中) 2. 土壌の窒素濃度及び種子の窒素含
有量が直播水稲の苗立ち率に及ぼす影響(日本土壌肥料学会で講演予定)