ドップラー速度計による定幅散布機の散布量制御技術

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要約

定幅散布機にドップラー速度計を装着し、非接触で対地走行速度を検出するとともに、その信号を用いて粒状肥料・農薬の単位面積当り散布量を一定に制御するシステムを開発した。このシステムにより、スリップ率の変動にかかわらず、資材散布量を均一にすることができる。

  • 担当:北陸農業試験場・水田利用部・作業技術研究室
  • 連絡先:0255-26-3236
  • 部会名:営農・作業技術
  • 専門:機械
  • 対象:農業機械
  • 分類:研究

背景・ねらい

大区画水田では、定幅散布機を用いた肥料・農薬散布作業が普及しつつある。しかし、車両が軟弱な水稲立 毛中の水田を走行する際にス リップ(スリップ率5~30%)が生じ、作業速度の変動とともに、資材散布量も不均一になる問題が指摘され ている。そこで、走行速度を検出しながら、それ に連動して散布量を自動調節するシステムを開発する。

成果の内容・特徴

  • ドップラー速度計を定幅散布機に装着することにより、非接触で散布作業速度を検出することができる。 また、ドップラー速度計は、対地速度を検出するので、従来のタイヤ回転数から速度を換算する方法では誤差 の原因になっていたスリップの影響を受けない (図1)。
  • 本システムでは、検出した速度をパルス信号に変換し、定幅散布機の繰り出しロールを駆動するステ ッピングモータの回転制御に使用する (図2)。
  • 検出速度の精度は高く、実測速度との差は±3%以内である。また、繰り出しロールの回転数は検 出した速度に正確に連動する (表1)。
  • 本システムを用いた大区画圃場での肥料及び農薬散布量は、設定散布量の±5%以内で高精度であ る (表2)。

成果の活用面・留意点

  • 本システムは、軟弱な水田で定幅散布機を肥料・農薬散布作業に使用する場合に効果が高い。
  • ドップラー速度計は水面が表れていると作動しないので、本システムを直に、湛水状態での直播作業 に適用することはできない。
  • 播種後20日で100本/m2以上の苗立ちがあれば、本システムを利用できる。

具体的データ

図1 ドップラー速度計を装着した定幅散布機とその仕様

図2 速度連動型散布量制御システム

表1 速度連動型定幅散布機の散布精度

表2 大区画圃場における散布量の精度

その他

  • 研究課題名:潤土直播のための高能率・高精度散播機械の開発・改良
  • 予算区分 :実用化促進(地域総合)
  • 研究期間 :平成9年度(平成5年~9年)
  • 発表論文等:走行速度に連動した粒状物散布装置の開発、平成9年度農業機械学会関東支部会講演要旨、 1997