減窒素等で栽培されたにんじんの収量と品質特性

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要約

にんじんを茨城県の窒素施肥基準(標準)の半分を牛糞堆肥で代替栽培した場合や半量で減肥栽培した場合、標準施肥と同等の可販品収量、可販品率、糖度、ビタミンC含量、β-カロテン含量や色調が得られ、しかも硝酸態窒素含量を低減できる。

  • 担当:農業研究センター・プロジェクト研究第2チーム
  • 連絡先:0298-38-8840
  • 部会名:総合研究
  • 専門:栽培
  • 対象:根菜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

減化学肥料による野菜栽培は、差別化による有利販売だけでなく、施肥に伴う環境負荷の軽減につながる。しかしながら、減化学肥料栽培された野菜と標準施肥で栽培された野菜との間にどのような品質要素の違いがあるのかはほとんど明らかにされていない。そこで、施肥条件を違えてにんじんを栽培し、収量、外観品質及び内容成分に差違があるのかどうか明らかにする。これらの結果を生産技術にフィードバックして、環境保全型生産技術の高度化につなげる。

成果の内容・特徴

  • 茨城県のにんじんの施肥基準(標準区:N-P2O5-K2O=25-15-25kg/10a)のうち、窒素施用量の半分を牛糞堆肥で代替してにんじん(向陽2号)を栽培した場合(牛堆代替区)、標準区と同等の可販品収量、可販品率、糖度(ブリックス)、ビタミンC含量、β-カロテン含量及び色調が得られるが、硝酸態窒素含量は71%まで低減する(表1)。
  • 窒素及びリン酸を施肥基準の半量でにんじんを栽培した場合(NP半量区)、標準区と同等の可販品収量、可販品率、糖度、ビタミンC含量、β-カロテン含量及び色調が得られるが、硝酸態窒素含量は54%まで低減する(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 低肥沃度(可給態窒素:0.2mg/100g、硝酸態窒素:1.1mg/100g)の圃場において、茨城県のにんじんの窒素施肥基準の半分でも標準施用栽培と同等の収量、外観品質及び内容成分が得られたことから、肥沃度の高い農家圃場では化成窒素の半量減肥によるにんじん栽培は可能と考えられる。
  • にんじんの硝酸態窒素含量の結果から、生産技術にフィードバックして窒素施用量の設定が可能となり、このことが環境保全型生産技術の普及促進につながる。
  • 作型は夏まき秋冬どりである。

具体的データ

表1:茨城県のにんじんの窒素施肥基準の半分を牛糞堆肥で代替栽培した場合(牛堆代替区)の収量・品質(1997年)
表1:茨城県のにんじんの窒素施肥基準の半分を牛糞堆肥で代替栽培した場合(牛堆代替区)の収量・品質(1997年)

 

表2:茨城県のにんじんの窒素及びリン酸施肥基準の半量で減肥栽培した場合(NP半量区)の収量・品質(1998年)
表2:茨城県のにんじんの窒素及びリン酸施肥基準の半量で減肥栽培した場合(NP半量区)の収量・品質(1998年)

 

その他

  • 研究課題名:消費ニーズに対応した野菜の簡易品質評価技術の開発
  • 予算区分 :地域総合
  • 研究期間 :平成10年度(平成9~13年)