紫黒米米糠のファインパウダー化による食品着色料への利用
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要約
脱脂・脱臭した紫黒米米糠はファインパウダー化することで食品着色料として利用できる。保存性が優れており,各種食品の加工時に添加することにより,米糠粒子が全く目立たないきめの細かい着色が可能となる。
- 担当:北陸農業試験場・地域基盤研究部・米品質評価研究室
- 連絡先:0255-26-3245
- 部会名:食品
- 専門:加工利用
- 対象:稲類
- 分類:指導
背景・ねらい
紫黒米は「糠層」に高濃度のアントシアニンを含む有色素米である。米の高付加価値化や消費者ニーズの多様化などにより最近紫黒米の栽培及び利用機運が高まりつつある。この一般的な利用法は極少量の米糠を残した精白米を調製し,赤飯,有色餅・団子,薬膳粥などの着色食品の製造である。しかし,このような利用法の場合,色素の大部分は米糠部分にあり,色素材料として利用されていない。そこで,健康食品として優れた色素を用いるために,この色素を含む米糠を利用し,利便性の良い食品着色料の製造法を開発する。
成果の内容・特徴
- 紫黒米米糠(「朝紫」)を食品着色料の原料とするには,油脂や特異臭を除いた方がよい。米糠の油脂・特異臭は,乾燥米糠をエタノールで溶出処理することで除去できる(図1)。この処理による色素損失は極少量である。
- 米糠は脱脂により脆くなり,容易にファインパウダー化できる(図1,表1)。色素はファインパウダーとしても玄米の場合と同様に安定で,溶液状態の色素に比較して長期間保存ができる(図2)。
- ファインパウダーを餅,団子,水飴,ゼラチン凝固菓子等各種食品の加工時に添加すると,微粒子のため色素が容易に溶出し,食品の着色が容易となり,食品着色料として優れている(表2)。
この着色料による着色食品は淡色着色の場合でも,色素抽出溶液の着色料で着色したようにきめが細かく,粒子がまったく目立たなく,透明感もよい。着色食品には米糠由来の不快臭,苦味,食感上の粗粉感はない。
成果の活用面・留意点
- 脱脂・脱臭紫黒米米糠ファインパウダーは紫~赤紫色系の食品着色料として利用できる。
- 紫黒米は品種や栽培環境により色素含量が異なるので,ファインパウダーの使用量に留意する必要がある。
- 着色食品の色調を調節するには,ファインパウダーにクエン酸等を少量加え,食品のpHを調節するとよい。
- 本技術は北陸農業試験場が特許申請中である。
その他
- 研究課題名:育成系統の米粒特性及び有機成分特性の評価
- 予算区分 :総合的開発(新形質米)
- 研究期間 :平成10年度(平成元年~7年)
- 発表論文等:特許出願中,米糠食品着色料及びその製造法,特願平8-54358,1996。紫黒米米糠の簡易脱脂・脱臭法とそのファインパウダー化による食品着色料への利用,北陸作物学報,第33回講演会,第33号別号,30~31,1996。