外被蛋白質の遺伝子解析に基づくソラマメウイルトウイルスの分類
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要約
日本および海外で分離されたソラマメウイルトウイルス(BBWV)分離株の外被蛋白質遺伝子を解析し、予測されるアミノ酸配列の相同性を比較したところ、日本の4分離株はBBWV2に属した。
- 担当:農業研究センター・病害虫防除部・ウイルス病害研究室
- 連絡先:0298-38-8931
- 部会名:生産環境
- 専門:作物病害
- 対象:花き類
- 分類:研究
背景・ねらい
ソラマメウイルトウイルス(BBWV)は宿主範囲が広く、日本各地で多数分離されている。これまで海外産BBWVの多くは、血清学的手法(寒天ゲル内二重拡散法)により2つの種(BBWV1およびBBWV2)に分類されてきたが、同手法による反応は不安定で、分離株の種の識別は困難であった。そこで、日本および海外の数種BBWV分離株の外被蛋白質遺伝子を解析し、日本産分離株の分類学的な位置付けを明らかにする。
成果の内容・特徴
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6種のBBWV分離株(1-2、L、E、IP、PV132およびPV176)の外被蛋白質遺伝子の塩基配列を決定
し、予測されるアミノ酸配列の相同性を比較した(
表1
)。
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日本の4分離株は、BBWV2(PV131)と90.8~96.3%の高い相同性を示したが、BBWV1(PV132およ
びPV176)とは61.9~63.8%の相同性にとどまった。
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以上の結果に基づき系統樹(NJ法およびUPGMA法)を作成したところ、BBWV1およびBBWV2は分
子レベルでも異なる種として位置付けられることを確認し、日本の4分離株はBBWV2に属するこ
とを明らかにした(
図1
)。
成果の活用面・留意点
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得られた塩基配列情報は、遺伝子診断法によるBBWV1とBBWV2の識別に利用できる。
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BBWV1が日本国内に存在するかどうかについて、今後の検討が必要である。
具体的データ

表1:ソラマメウイルトウイルス分離株および cowpea mosaic virus(CPMV)の由来

図1:外被蛋白質のアミノ酸配列に基づくソラマメウイルトウイルス分離株の系統樹(UPGMA法)。
その他
- 研究課題名:花き類に発生する病原ウイルスの諸性質の解明
- 予 算 区 分:経常
- 研 究 期 間:平成10年度(平成8年~12年)