搗精度評価性能向上のために改良したニュ-MG試薬染色法

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要約

精米時の糠層の剥離程度を評価するニュ-MG試薬染色法の工程のうち染色前の水洗を軽く行い、試薬とメチルアルコールの混合比を下げ、染色試料の洗浄液を水からアルコールに変えれば、糠層剥離の微妙な差の評価が可能となる。

  • 担当:農業研究センター・プロジェクト研究第4チーム
  • 連絡先:0298-38-8817
  • 部会名:作物生産
  • 専門:食品品質
  • 対象:稲類
  • 分類:普及

背景・ねらい

精米工程では果皮、種皮と糊粉層、胚芽の大部分、いわゆる糠層が除去され、精米が進むにつれて米の重量減少と白度が増加する。精米の程度はこれら精白率 (搗精歩合)と白度によって評価できるが、精米機の種類、性能や精米法によって同じ精白率であっても白度が違ったり、白度が同じでも精白率が違うことがあ る。この差は砕米率や糠層の剥離状況に起因すると考えられるが、糠層の剥離程度を評価する方法として従来からニュ-MG試薬による染色法が考案され、実施 されてきた。この試薬は果皮、種皮部を緑色に、糊粉層を青色に、胚乳部をピンク色に染色する。しかしこの方法では糠層剥離の微妙な差を評価するには十分で はなく、染色法を一部改良することによって評価精度を向上させる。

成果の内容・特徴

  • 食糧庁標準計測法に定められている方法は図1の通りである。糠層の微妙な剥離程度を評価するためには図1の工程中(A)、(B)、(C)の改良が必要である。(A)のニュ-MG原液とメチルアルコールの混合比が1:3では試薬の濃度が薄すぎ、呈色の差が小さいため、混合比を1:0~1:1にする。
  • (B)は2~3回水洗することによって残存糠層が洗い流され、精白米表面の状態が正確に評価できないため、試料を水に浸す程度にして直ちに水を切る方法に変える。
  • (C)の水洗法では米粒にひびを生じたり呈色の差が小さくなり、しかも経時変化が大きいためメチルアルコールによる洗浄に変更する。
  • 以上のことから、微妙な糠層の剥離程度の評価のためには、図2のように染色前に試料を1回水に浸し、ニュ-MG原液とメチルアルコールの混合比1:0~1:1の試薬によって2分間染色し、染色後に3~5回アルコール洗浄すると良い。本改良法によると従来法と比較して評価精度が大幅に向上する。(図3、図4)

成果の活用面・留意点

精米の程度を白度、精白率で評価する場合に改良したニュ-MG試薬染色法を併用すると、糠層の剥離が正確に評価できる。

 

具体的データ

図1:NMG試薬染色法(現行法)
図1:NMG試薬染色法(現行法)

 

 

図2:NMG試薬染色法(改良法)
図2:NMG試薬染色法(改良法)

 

図3:改良法による玄米の染色(緑色)
図3:改良法による玄米の染色(緑色)

 

図4:改良法による精白米の染色(現行法では呈色の差がない)
図4:改良法による精白米の染色(現行法では呈色の差がない)

 

その他

  • 研究課題名:低圧力精米による米の貯蔵性向上技術の開発
  • 予算区分 :総合的開発
  • 研究期間 :平成11年度(平成9~11年)