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現状では、根が露出、根量が多い、移植時の損傷が多い、とされるロングマット水稲苗では移植7日後には除草剤の影響は小さいが、移植直後に処理すると、同じ葉齢の慣行稚苗より薬害による乾物重対無処理区比の減少が大きい。移植後の露出根は除草剤の薬害による乾物重対無処理区比の減少を助長することがある が、移植時の根の損傷はそれを助長しない。
ロングマット水稲苗の特性のうち現状では、(1)根が露出していること、(2)根量の多いこと、(3)葉齢が進む割に乾物重が少ないこと、(4)移植時の 損傷の多いこと、などが除草剤の影響に関係する。ロングマット苗移植栽培で、移植直後の除草剤の処理は一層の省力化につながるが、慣行の稚苗より除草剤の 影響を強く受けることが懸念される。このため、移植直後の除草剤処理の影響を慣行稚苗との対比や植付精度などの視点で解析し、ロングマット苗移植栽培の体 系化の試験研究に資する。
1~2.5の範囲で葉齢を揃えた条件で検討した結果、ロングマット苗に対する除草剤施用は苗の活着後は慣行稚苗のそれに準じて行えるが、移植直後の施用にあたっては、植付精度に応じてイネに対する安全性の高い剤の選択に留意する必要がある。
図1:数種一発処理剤の処理時期によるロングマット苗の育成への影響(植付深度0cm、移植39日後の調査)
図2:数種除草剤の移植当日処理によるロングマット苗と慣行稚苗の生育への影響の差異(移植34日後の調査)
図3:露出根数を異にするロングマット苗の生育に対する数種一発処理剤の影響(移植35日後の調査)
図4:剪根程度を異にするロングマット苗の生育に対する移植当日の数種一発処理剤の影響(移植35日後の調査)
図5:除草剤の種類と略号(各図共通)