散水チューブによるセル成型苗用灌水方法

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要約

キャベツ等のセル成型苗の育苗時に、低コストな上方噴霧散水型の散水チューブを利用し、送水と止水を繰り返す間欠灌水を行うことにより、均一な灌水が可能となる。また、育苗箱の重量変化から蒸発散速度を推定して灌水量を制御することにより、灌水の自動化が図れる。

  • 担当:北陸農業試験場・総合研究部・総合研究第2チーム
  • 連絡先:0255-26-3235
  • 部会名:営農・作業技術
  • 専門:機械
  • 対象:農業機械
  • 分類:指

背景・ねらい

キャベツの産地化が進んでいる地域では、共同育苗が行われているが、転換畑等による生産地域では個別育苗が多く、コストと労力の負担をできるだけ少なくすることが重要である。そこで、個別育苗を対象として省力・低コストで均一灌水と自動化が可能なシステムによる育苗管理技術を確立する。

成果の内容・特徴

  • 散水チューブは上方噴霧散水型を使用し、育苗台の中央に設置する(図1)。灌水幅はチューブの両側約60cmである。チューブの使用圧力は、一般水道水程度の約0.1MPaである。
  • 散水チューブで連続的に灌水するとムラが大きいため、送水と止水を繰り返すことにより、到達距離が変化し、均一な灌水が可能となる(図2)間欠動作の間隔は5秒送水、3秒止水程度が良い。間欠動作は、ディレー回路等と電磁弁で行う。
  • 散水チューブは、1本より2本平行に並べて設置すると、チューブ状態の不均一さが解消され、灌水ムラが小さくなる(図3)。チューブ方向の場所による灌水量の差はほとんどない。本装置と通常の管理により灌水ムラ27%に比べ、苗の生育ムラは小さくなる(図2)、(表1)。
  • 手動で灌水量を調節する場合、フレームから育苗箱を吊り下げ、台秤で育苗箱重量を測定すると、乾燥状態の推定、灌水量・灌水時間等の決定をすることができる(図1)。
  • 自動灌水を行う場合は、ロードセル等による連続的な苗箱重量の変化から蒸発散速度を1日2回推定し、300ml/トレイ・回を上限に灌水制御を行うと、天候に関係なく夕方の育苗箱重量が一定になる(図4)。

成果の活用面・留意点

  • チューブを長くすると水道水の圧力が低下するので、水圧を一定に保つ注意が必要である。1回に灌水できるトレイ数の目安は、定植圃場の約30a分(120トレイ)である。
  • 設置の材料費は、手動の場合、間欠装置と電磁弁を含め(育苗台は除く)120トレイ当たり約3万円である。

具体的データ

図1.

 

図2.

 

図3.  表1.

 

図4.

その他

  • 研究課題名:高生産性水田輪作営農技術の評価
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成11年度(平成8~13年)
  • 発表論文等:セル成型苗用自動灌水技術、農作業学会第34回講演要旨、1999