トラクタ装着型雪ブロックハンドリング装置

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

雪圧縮成型処理機で作製した雪ブロックを、エアバランサを用いることにより作業者一人で容易に取り扱うことのできるトラクタ装着型ハンドリング装置を開発した。ハンド部はコンテナ用ハンドや袋用の吸着ハンドに容易に交換できるため、重量物のハンドリング装置として汎用的に活用できる。

  • 担当:北陸農業試験場・水田利用部・作業技術研究室
  • 連絡先:0255-26-3236
  • 部会名:営農・作業技術
  • 専門:機械
  • 対象:農業機械
  • 分類:指導

背景・ねらい

北陸の中山間地は冬期間、積雪により農業場面での活動が限られてしまうため、除雪や雪の冷熱源としての有効利用技術の開発が強く望まれている。そこで農作物の貯蔵のための冷熱源として積雪を効率的に活用するため、「トラクタ用雪圧縮成形処理機」(北陸農業研究成果情報第12号)で作製される雪ブロック(平均質量38kg)のハンドリングの軽労化を図り、効率的な集積方式を確立する。

成果の内容・特徴

  • 本機械は、トラクタの3点リンク装着型の移動台座、エアバランサ及び空気の供給源となるコンプレッサと雪ブロックを把持するハンド部で構成されている(図1、表1)。コンプレッサの駆動をトラクタのPTOで行うため、電源のないところでも自由に移動しながら作業できる。
  • 雪ブロックを把持するハンドは、2本のエアシリンダの両端に取り付けた圧縮板で雪ブロックを挟む構造となっている。圧縮板の表面には滑り止めに20本のピンを取り付けてありブロックを確実に把持することができる(図1)。
  • 把持操作はハンドの近くに取り付けた制御スイッチで行う。ハンドは鉛直方向に±10度の範囲で自由に傾けることができるので、作業面が平らでない所でも雪ブロックを確実に把持することができる(図2)。
  • このハンドリング装置を使うことにより、二人の作業でも重労働であった雪ブロックの集積作業を一人で楽に行うことができる(図3)。
  • ハンド部はピン1本で容易にコンテナ用ハンド(図4a、4b)。や袋用の吸着ハンドに交換できるため雪ブロック以外の重量物のハンドリングにも使用できる。

成果の活用面・留意点

  • ハンドリング可能な最大質量は、雪ブロックハンド装着時で40kg、コンテナ用ハンド装着時50kg、袋用ハンド装着時45kgである。
  • トラクタは17kW以上のものが必要である。また、吸着ハンドを使用する場合は別に電源が必要である。

具体的データ

図1.雪ブロックハンドリング装置と雪ブロック用ハンド

 

表1.雪ブロックハンドリング装置の諸元 図2.雪ブロック用ハンド2

 

図3.雪ブロック集積作業時心拍数の変化

 

図4.交換可能な各種ハンド

その他

  • 研究課題名:積雪の効率的集積技術の確立
  • 予算区分:科技庁・地域先導(富山県域雪)
  • 研究期間:平成11年度(平成9年~11年)
  • 発表論文等:積雪の効率的集積技術の開発(1)-雪圧縮成形処理機による雪ブロック成形・貯雪作業雪圧縮成形処理機-、農作業研究、第34巻別号1、1999.3