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地域農業の動向を解析・予測するため,1.農業集落カードを用いた農業持続度指標による集落の類型化システム,構造変動予測システム,2.農林業センサス農家調査結果を用いた地域農業構造変動の分析・予測支援システムを開発した。
農家,農業就業,土地利用,営農,農地流動化,農業生産などの地域農業構造の動向を解析・予測するため,農林業センサス等のデータを用いた分析システムを新たに開発する。
図1のように農業集落及び農家を単位としたデータを整備し,それぞれの地域における農業構造の現状分析及び将来予測が可能なWindowsで稼動するシステムを開発した。
農業持続性に影響する農家,担い手,農地,営農などの特性を示す14の指標(図2) を用いて,それぞれの指標の偏差値を計算して総合化し,その大小にしたがって5段階に類型化するという方法によって,集落農業の持続可能性が類型化できる ようにした。また,集落を単位とした営農動向などの構造変動が予測できるよう,1990年から95年にかけての集落の動きを推移確率を使って分析できるよ うにした。
農林業センサス農家個票が提供する情報に基づき,地域農業の構造変動の特質とその将来動向を農家個々の分析・予測結果を積み上げて把握する次のような3つ のタイプの予測システムを開発し,市町村,県,農業地域などの任意の地域単位で地域農業構造変動の分析・予測が実施できるようにした。
本システムを利用して,関東東山農業の将来動向を県別に分析し,その分析結果を類型化した例が 表1である。システムから出力される多様な推計結果を活用することによって,自由度の高い分析が可能となる。
農業集落カードを用いた分析システムは,関係行政部局における政策立案の基本指標として,また、地域農業試験場における総合研究推進のための基礎データと して活用できる。農林業センサス個票を用いた分析システムは,本研究終了後は関係行政部局に移管された上でシステムの拡充が図られ、行政現場で活用される こととなる。
図1:開発した地域農業構造分析・予測システムの概要
図2:農業集落カードを用いた14の農業持続度指標
表1:関東東山地域の県別予測結果に基づく農業構造類型化の例