水稲直播栽培での追播きは籾水分の差異を拡大し外観品質を下げる
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
水稲の直播栽培で苗立数が不足した場合に行う追播きは、極端な苗立不足下での収量確保には有効であるが、追播き個体の出穂が遅れるため収穫期の籾水分の差異が拡大し、玄米外観品質を下げる。
- 担当:北陸農業試験場・水田利用部・栽培生理研究室
- 連絡先:0255-26-3241
- 部会名:作物生産
- 専門:栽培
- 対象:稲類
- 分類:指導
背景・ねらい
水稲の直播栽培で苗立数が不足した場合、追播きにより苗立数を確保することがあるが、その効果や品質に及ぼす影響が未検討であり、追播きの有効性と限界を示す必要がある。
成果の内容・特徴
- 「どんとこい」を用いた湛水散播直播栽培(播種5月11日)において、播種後11~20 日に追播きを行うことにより苗立数不足による収量低下を軽減・回避することができる。この効果は、とくに苗立数が10本/m2程度と少ない場合に大きい(図1)。
- しかし、追播き個体の出穂が遅延するため、収穫期の籾水分の差異が拡大する。このため、先きに播いた個体では過乾燥による胴割粒の発生が、追播き個体では登熟不足による青未熟粒・乳白粒の発生がそれぞれ増える傾向がある(図2,図3,図4)。
- したがって、播種後10日を過ぎての追播きは、収量面では効果があるが、玄米外観品質を下げる危険性がある。
成果の活用面・留意点
食用米、加工用米、飼料用稲等の直播栽培で、その用途に応じ、苗立不足時の追播き実施判断に活用できる。本成果は播種後10日程度以降の追播きに適用される。
具体的データ
その他
- 研究課題名:直播水稲の栽植条件に対応した生育制御技術の確立
- 予算区分:実用化促進(地域総合)
- 研究期間:平成12年度(平成11~12年)
- 発表論文等:追い播きが直播水稲の収量および品質に及ぼす影響、日作紀69(別1)、2000