農地の借り手市場下における大規模借地経営の農地集団化、圃場管理の方法
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要約
農地の借り手市場下での大規模借地経営は希少な受け手として農地集積が容易である。そこでの規模拡大に伴う圃場分散の解消と圃場管理効率化には、交換耕作や圃場管理作業の再委託および畦畔除去、また借地経営間の合意形成による借地範囲の限定が有効である。
- 担当:北陸農業試験場・総合研究部・農業経営研究室
- 連絡先:0255-26-3231
- 部会名:営農・作業技術
- 専門:経営
- 分類:指導
背景・ねらい
水稲単作地域である新潟県中頸城郡では少数の大規模借地経営に農地が集積されており、家族経営レベルでも稲作付け面積20haを超える経営が展開している。そこで、当該地域における大規模借地経営の農地集団化、圃場管理の方法を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 中頸城郡は安定兼業農家、土地持ち非農家が多数な中で農地の借り手市場にあり、少数ながら20~30ha規模の大規模借地経営が展開している。
また当地域における圃場整備は少数借地経営への農地集積を一層進展させている。三和村A経営や上越市B経営は入作集落に占める農地・作業面積シェアが30%、40%を占める(表1)。こうした状況は少数借地経営による農地市場の寡占的な傾向を示す。
- 大規模借地経営の農地集積法および圃場分散解消と圃場管理効率化には次のような特徴がある(表2)。
(1)他の借地経営との農地獲得ルールの形成
(2)自主的な交換耕作による農地集団化(互いの自作地、あるいは互いの借地も含め)
(3)畦畔除去による区画拡大
(4)借地集落の地主、近隣農家への圃場管理作業の再委託
(5)「(2)~(4)」に関して農地の貸し手側の同意を得る。
- 圃場整備進展を契機とした大幅な農地供給状況を踏まえると、今後の借地経営がより一層の農地集団化、圃場管理作業の効率化を図るには、整備集落間での農地集積の住み分けを図る、また整備圃場の交換耕作を図ることである。具体的には借地経営相互の合意形成により、相互に農地借入の範囲を限定したり、借入の拠点集落に圃場を集団化させるよう交換を行うことである。
成果の活用面・留意点
大規模借地経営相互の合意形成、あるいは大規模借地経営側からの積極的対応により、農地集団化、及び圃場管理作業労力の軽減を図る上で参考となる。
具体的データ


その他
- 研究課題名:地域農業の動向解析
- 予算区分:実用化促進(地域総合)
- 研究期間:平成12年度(平成10~12年度)
- 発表論文等:「大規模借地経営の農地集積と農地管理・利用」北陸農試農業経営研究,第57号,2000年,50-82.